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毎日リップクリームを塗っているのに、唇の皮がめくれては、また荒れる。気づけば指で皮をむいてしまい、ヒリヒリする。冬になると、こんなくり返しに悩む人は少なくありません。
先に結論です。唇の皮むけが治らないときは、まず「なめる・むく・こする」をやめて、刺激の少ないもので保護することが基本です。そのうえで、ひび割れやただれがあるなら医薬品のリップ、予防なら化粧品や医薬部外品と、今の状態に合った区分で選びましょう。
ただし、かぶれ(接触皮膚炎)や口角炎、ヘルペスなど、単なる乾燥ではないこともあります。医薬品のリップでも、添付文書に書かれた期間(たとえば5〜6日)使って良くならなければ、使用を中止して相談します。この記事では、原因の見分け方からリップの選び方、受診の目安まで順番に解説します。
この記事でわかること
- 唇が乾燥して皮むけしやすい理由
- 皮むけを長引かせるNG習慣と、代わりにできること
- かぶれ・口角炎・ヘルペスなど「乾燥だけではない」ケース
- 化粧品・医薬部外品・医薬品リップの違いと選び方
- 皮膚科に相談したい唇の症状
唇が乾燥して皮むけしやすい理由
唇は顔の皮膚とつくりがちがう
唇の赤い部分は、顔の皮膚とつくりがちがいます。粘膜に近い性質をもち、毛穴(毛包)や汗腺がなく、角化しない(角層をつくらない)透明な上皮でおおわれているとされています(参考:マルホ皮膚科セミナー(ラジオNIKKEI)「口唇・口囲に生じる皮膚疾患の診方」)。
汗腺がなく、顔の皮膚のようなしっかりした角層もないため、乾燥や刺激の影響を受けやすいと考えられています。唇は「自分で守る力が弱い場所」なので、外から保護するのが基本です。
冬の乾燥・紫外線・マスク
冬は空気が乾燥し、暖房でさらに湿度が下がります。また、日光による障害は唇によくみられる変化のひとつとされています(出典:MSDマニュアル家庭版「唇にみられるびらん、炎症、およびその他変化」)。冬でも晴れた日の外出や、スキー・雪山などでは紫外線に注意しましょう。
マスクの内側は湿っていても、外したときに一気に乾きやすく、着け外しで唇がこすれることもあります。部屋の乾燥が気になる人は、加湿の方法も見直してみてください。
皮むけが治らない人に多いNG習慣
唇の皮むけが長引く人は、知らないうちに唇へ刺激を与えていることがあります。当てはまるものがないか確認してみましょう。
| NG習慣 | 起きやすいこと | 代わりにできること |
|---|---|---|
| 唇をなめる | だ液が乾くときに唇の水分も奪われ、かえって乾燥しやすいと言われています | 乾いたと感じたら、なめずにリップを塗る |
| めくれた皮をむく・かむ | まだはがれる準備のできていない部分まではがれ、出血やただれにつながることがある | はさみや指でむかず、リップで保護して自然にはがれるのを待つ |
| ゴシゴシこする(タオル・クレンジング) | 摩擦で薄い唇の表面が傷つく | 食後や洗顔後は、押さえるように水分や汚れを拭く |
| リップを何度も強く塗り重ねる | 塗るたびに唇がこすれる | 力を入れず、唇のシワに沿ってやさしくのせる |
| しみるのに同じ口紅やリップを使い続ける | 成分が合わず、かぶれていることがある | いったん使うのをやめ、改善しなければ皮膚科へ |
子どもでは、舌で口のまわりをなめ回すことで起きる「舐め回し皮膚炎」がよく見られるとされています(参考:マルホ皮膚科セミナー(ラジオNIKKEI)「口唇・口囲に生じる皮膚疾患の診方」)。大人でも、なめるくせがある人は意識してやめてみましょう。
「単なる乾燥」ではないかも?見分けの目安
唇の炎症(口唇炎)は、感染症、日光による損傷、薬剤や刺激物、アレルギーなどが原因になるとされています(出典:MSDマニュアル家庭版「唇にみられるびらん、炎症、およびその他変化」)。次のような特徴があるときは、リップを変えるだけでは良くならないことがあります。
| 考えられるもの | よくある特徴 | どうする? |
|---|---|---|
| かぶれ(接触皮膚炎) | 口紅・リップ・歯みがき粉や、食べるときに触れた食べ物など、唇に触れたものが原因で、触れた部分に赤み・かゆみ・皮むけが出る | 心当たりのあるものを中止。続く場合は皮膚科でパッチテストなどを相談 |
| 口角炎(口角の炎症) | 口の両端が赤くなる・切れる・ただれる。口を開けると痛い | 長引く場合は皮膚科・歯科へ。入れ歯の合い具合や感染が関係することがある |
| 口唇ヘルペス | ピリピリ・ムズムズしたあと、小さな水ぶくれが集まってできる。同じ場所にくり返す | 早めに皮膚科へ。抗ウイルス薬で治療する |
| なかなか治らないただれ・しこり | 何週間も同じ場所がただれる、周りが硬い | 自己判断せず皮膚科へ |
口紅・歯みがき粉・食べ物によるかぶれ
化粧品が肌にふれて起きる皮膚炎は「化粧品皮膚炎」と呼ばれ、この「化粧品」には薬用歯みがきなど医薬部外品の一部も含まれます(出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「化粧品、毛染めによる接触皮膚炎(かぶれ)」)。唇に触れた食べ物でもかぶれることがあり、マンゴーなどの植物性の食べ物によるものが多いとされています。食べ物に触れた直後に、虫刺されのような蕁麻疹が出る「接触蕁麻疹」もあります(出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「食物による接触皮膚炎(かぶれ)」)。
食後すぐに唇・舌・のどが腫れ、息苦しさやゼーゼーする呼吸、意識がぼんやりするなどの症状があるときは、ためらわず119番に電話してください(出典:厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」)。
「リップを塗るほど荒れる」「新しい口紅にしてから治らない」という場合は、その製品をいったんやめてみましょう。原因を確かめたいときは、皮膚科でパッチテストを相談できます。
口角炎は入れ歯や栄養不足が関係することも
口の端の炎症(口角口唇炎)は、合わない入れ歯、カンジダや黄色ブドウ球菌の感染、ビタミンB2や鉄の不足などが原因になるとされています(出典:MSDマニュアル家庭版「唇にみられるびらん、炎症、およびその他変化」)。原因によって治療が変わるため、長引くときは医療機関に相談しましょう。
口唇ヘルペスは早めに受診
口唇ヘルペスは、ウイルスがくり返し活動して起きます。発熱、紫外線、歯科治療などの刺激やストレス、免疫の低下が再発のきっかけになります(出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ヘルペスの再発はどのようにして起こりますか?」)。軽症の口唇ヘルペスでは抗ヘルペス薬の塗り薬が使われ、医師の診断を受けたことがあれば、薬局でもこの塗り薬を買えるとされています(出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「単純疱疹の治療」)。
初めて水ぶくれが出たときや、ヘルペスかどうかわからないときは、普通のリップでごまかさず皮膚科を受診しましょう。水ぶくれがある間は、リップやタオルの共用も避けてください。
今日からできる唇の乾燥・皮むけ対策
- こまめに、こすらず塗る:乾いたと感じる前に、力を入れずにのせるように塗る
- 食後は拭いてから塗る:食べ物や飲み物の汚れを、押さえるようにやさしく拭き取ってから塗り直す
- 寝る前は少し多めに:寝ている間は口を使わないので、保護しやすい時間です
- 口紅の前にリップで下地:口紅を落とすときは、こすらずにやさしく落とす
- 部屋の湿度を保つ:暖房中は加湿器などで乾燥を防ぐ
- 外出時は紫外線も意識:日差しの強い日や雪山では、UVカット表示のあるリップも選択肢
唇だけでなく手や体も乾燥しやすい季節です。手荒れやすねの粉ふきが気になる人は、こちらもあわせてどうぞ。
リップの選び方|化粧品・医薬部外品・医薬品の違い

リップクリームは、パッケージに書かれた区分で、できることが変わります。今の唇の状態に合わせて選びましょう。
| 区分 | できること | 向いている状態 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 化粧品 | 唇を保護し、乾燥を防ぐ・うるおいを与える | カサつきの予防、日常のケア | 傷や湿疹など異常がある部分には使わないよう書かれているものが多い |
| 医薬部外品(薬用リップ) | 商品ごとに認められた効能(例:唇の荒れ・ひび割れを防ぐ) | 毎年冬に荒れやすい人の予防 | 治療薬ではない。異常がある部分には使わないよう書かれているものがある |
| 医薬品(第3類医薬品など) | 添付文書に書かれた効能・効果の範囲で使う(例:口唇のひびわれ・ただれ、口唇炎、口角炎) | すでに皮むけ・ひび割れ・ただれがある | 一定期間使っても良くならなければ使用を中止して相談 |
すでに割れている・ただれているなら医薬品
今すでにひび割れやただれがある場合は、効能・効果に「口唇のひびわれ」「口唇のただれ」などが書かれた医薬品のリップを選びます。化粧品のリップには、治療の効果はありません。
しみやすい人は「メントール無配合」「無香料」を
荒れた唇には、メントール(スーッとする成分)や香料が刺激になることがあります。しみやすい人は、メントール無配合・無香料のものを選ぶと使いやすいでしょう。
リップで荒れるなら、まずは中止
リップを塗ると赤み・かゆみが出る場合は、その製品が合っていない可能性があります。別のリップに次々と変えるより、いったん中止して皮膚科に相談するほうが、原因を見つけやすくなります。
区分別に選ぶ、唇の乾燥・皮むけ対策リップ3つ
区分のちがう3つを紹介します。順位ではなく、唇の状態に合わせて選んでください。
| 商品名 | 区分 | 容量 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ベビーワセリンリップ | 化粧品 | 10g | 成分は白色ワセリンのみ。皮ふ・口唇を保護し、乾燥を防ぐ |
| キュレル リップケア クリーム | 医薬部外品 | 4.2g | 有効成分グリチルレチン酸ステアリル。唇の荒れ・ひび割れを防ぐ。無香料・無着色 |
| メンソレータム メディカルリップnc | 第3類医薬品 | 8.5g | 効能は口唇のひびわれ・ただれ、口唇炎、口角炎。メントール無配合 |
シンプルに保護したい人に:ベビーワセリンリップ(化粧品)
成分は白色ワセリンだけの、チューブ入りのリップです。製品の説明書では、皮ふ・口唇を保護し、乾燥を防ぐものとされています(出典:健栄製薬「ベビーワセリン・ベビーワセリンリップ」製品説明書)。チューブの先を唇にあててのばすか、指にとって塗ります。香料などが気になる人の、毎日の予防ケアに向いています。傷やはれもの、しっしんなど異常のある部分には使わないよう書かれています。
毎年冬に荒れやすい人の予防に:キュレル リップケア クリーム(医薬部外品)
有効成分グリチルレチン酸ステアリルを配合した薬用リップで、メーカーは唇の荒れ・ひび割れを防ぐと説明しています。無香料・無着色、エチルアルコール無添加です(出典:花王「キュレル リップケア クリーム」商品情報)。食後は口のまわりを拭いてから使うこと、傷や湿疹などの異常がある場合は使わないことが注意として書かれています。
唇のひびわれ・ただれ、口唇炎に:メンソレータム メディカルリップnc(第3類医薬品)
効能・効果は「口唇のひびわれ、口唇のただれ、口唇炎、口角炎」です。1日数回、適量を患部に塗ります(子どもに使う場合は保護者の指導監督のもとで)。メントール無配合で、ビタミンE(トコフェロール酢酸エステル)やアラントインなどを配合しています(出典:PMDA「メンソレータムメディカルリップnc」添付文書情報)。
使えるのは、上の効能・効果の範囲です。添付文書では、医師の治療を受けている人、薬でアレルギー症状を起こしたことがある人、湿潤やただれがひどい人は、使う前に医師・薬剤師・登録販売者に相談するよう書かれています。原因がわからない皮むけが続くときも、使う前に医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。5〜6日間使っても良くならない場合は使用を中止し、外箱を持って相談しましょう。
医薬品・医薬部外品は、効能・用法・使用上の注意を確認してから使ってください。発疹・赤み・かゆみなどが出た場合はすぐに使用を中止し、医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。
こんな唇の症状は皮膚科へ
皮膚科の受診を考えたい目安
- 医薬品のリップを添付文書の期間(例:5〜6日)使っても良くならない
- 小さな水ぶくれが集まってできた、ピリピリした痛みがある
- 赤み・腫れ・強いかゆみがある、リップや口紅を塗ると悪化する
- 口角が切れて、何週間も治らない
- 同じ場所のただれが長く続く、周りが硬い、しこりがある
- 唇だけでなく、口の中や全身にも症状がある
子どもの場合、唇が真っ赤になってひび割れたり、口の中が赤くなったりする原因に「川崎病」があります。川崎病は、主に乳児や8歳以下の子どもに起こる病気とされています(出典:MSDマニュアル家庭版「唇にみられるびらん、炎症、およびその他変化」)。主な症状は、高熱、両目の白目の充血、唇の赤み・いちごのような舌(いちご舌)、体の発疹、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れです(出典:国立成育医療研究センター「川崎病」)。発熱が続き、真っ赤な唇やいちご舌、両目の充血、発疹、手足の腫れ、首のリンパ節の腫れなどがあるときは、速やかに小児科を受診してください。
「唇が荒れているだけ」と思っていても、皮膚科では原因を調べたうえで、それに合った塗り薬などを使えます。長引くときは早めに相談しましょう。
唇の乾燥・皮むけのよくある質問
Q. めくれた皮は、むいてもいいですか?
むかないほうがよいでしょう。無理にむくと、はがれる準備ができていない部分まではがれて、出血やただれの原因になります。気になるときは、リップを塗って表面をやわらかく保ち、自然にはがれるのを待ちましょう。
Q. リップクリームは1日何回塗ればいいですか?
化粧品や医薬部外品は、乾いたと感じたとき、食後、寝る前など、こまめに塗ってかまいません。医薬品の場合は添付文書の用法(例:1日数回)を守ってください。
Q. 唇パックやスクラブで皮をとってもいいですか?
皮むけやひび割れがあるときは、こする刺激になるスクラブは控えましょう。荒れが落ち着いてから、製品の説明どおりに使うのが無難です。
Q. ワセリンは唇に塗っても大丈夫ですか?
ワセリンは唇の保護や乾燥予防に使われます。ただし、化粧品のワセリンには「傷やしっしんなど異常のある部分には使わない」と書かれているものがあります。ひび割れやただれがあるときは、医薬品のリップを使うか、皮膚科に相談しましょう。
手や体の乾燥ケアには、こちらも参考にしてください。
まとめ:唇の皮むけは「刺激をやめる」「区分で選ぶ」「長引けば受診」
- 唇は毛穴や汗腺がなく、角化しない上皮でおおわれていて、乾燥や刺激の影響を受けやすい
- なめる・皮をむく・こするのをやめるだけで、荒れにくくなることがある
- 予防なら化粧品・医薬部外品、ひび割れ・ただれがあるなら医薬品のリップ
- リップや口紅で悪化する、水ぶくれがある、口角が切れて治らないときは皮膚科へ
- 医薬品リップは、添付文書の期間(例:5〜6日)使って良くならなければ中止して相談
まずは今日から、唇をなめない・むかないことと、食後と寝る前にやさしくリップを塗ることから始めてみてください。
参考にした情報
- マルホ皮膚科セミナー(ラジオNIKKEI)「口唇・口囲に生じる皮膚疾患の診方」(第68回日本皮膚科学会中部支部学術大会 教育講演の放送記録・参考)
- MSDマニュアル家庭版「唇にみられるびらん、炎症、およびその他変化」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「化粧品、毛染めによる接触皮膚炎(かぶれ)」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「食物による接触皮膚炎(かぶれ)」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「ヘルペスの再発はどのようにして起こりますか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「単純疱疹の治療」
- PMDA「メンソレータムメディカルリップnc」添付文書情報
- 国立成育医療研究センター「川崎病」
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
- 花王「キュレル リップケア クリーム」商品情報
- 健栄製薬「ベビーワセリン・ベビーワセリンリップ」製品説明書
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、効果には個人差があります。症状が気になる場合は医師にご相談ください。商品の価格や仕様は記事執筆時点(2026年10月)の情報です。医薬品・医薬部外品は使用上の注意をよく読んでお使いください。
