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先に結論:寒い脱衣所のヒートショック対策
- 入浴前に、脱衣所と浴室を暖めておく(浴室暖房がなければシャワーでお湯をはる)
- 湯温は41℃以下、湯につかるのは10分までを目安に。出るときはゆっくり立ち上がる
- 食後すぐ・飲酒後・睡眠薬などの服用後は入らない。入る前に家族へ声をかける
冬の入浴中の事故は、家の浴槽で多く起きています。消費者庁の集計では、高齢者の浴槽での溺水による死亡は1月をピークに11月〜4月に多く、令和元年には家や居住施設の浴槽で4,900人が亡くなっています(出典:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」(令和2年11月))。
浴室暖房がない家でも、できることはあります。この記事では、脱衣所と浴室を暖める工夫、脱衣所で使う暖房器具の選び方、入浴の決まりごと、そして家族が浴槽でぐったりしていたときの対応まで、公的機関の情報をもとにまとめました。
この記事でわかること
- 寒い脱衣所でヒートショックが起こりやすい理由
- 浴室暖房がない家で、脱衣所・浴室を暖める方法
- 脱衣所に置く暖房器具を選ぶときの注意点
- 入浴前・入浴中のチェック表と、浴槽でぐったりしていたときの手順
ヒートショックとは?寒い脱衣所が危ない理由
ヒートショックは、室温や気温の急な変化で血圧などが大きく変動し、体に悪い影響が出ることをいいます。主に入浴のときに起こるとされています(出典:東京都健康長寿医療センター「ヒートショック」)。
血圧が「上がって、下がる」
暖かい部屋から寒い脱衣所や浴室に入ると、血圧が上がります。そのあと温かいお湯につかると、今度は血圧が下がります。高齢になると血圧を保つ働きが弱まるため、この急な変動で脳の血流が減り、意識を失うことがあると消費者庁は説明しています。浴槽の中で意識を失うと、溺れる事故につながります(出典:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」)。
熱いお湯・長湯も危険を高める
同じ資料では、42℃のお湯に10分つかると体温が38℃近くまで上がり、のぼせて浴槽から出られなくなるおそれがあるとしています。脱衣所が寒いと、つい熱いお湯に長くつかりたくなります。「寒い脱衣所」と「熱いお湯」は、セットで見直すことが大切です。
元気な人も油断しない
消費者庁は、入浴中の事故は持病や前ぶれがない場合でも起こるおそれがあるとしています(出典:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」)。なかでも、入浴に関連する死亡の大半は65歳以上です。心不全や脳血管の病気がある人、過去に意識を失ったことがある人も注意が必要とされています(出典:東京都健康長寿医療センター「ヒートショック」)。
入浴前後に冷や汗やめまいが出たときの考え方は、こちらで解説しています。
浴室暖房がない家で脱衣所・浴室を暖める方法

消費者庁は、入浴前に脱衣所や浴室を暖めることをいちばん目の対策に挙げています。浴室暖房がない場合の工夫も紹介されているので、手軽なものから試してみてください。
お湯はシャワーからはる
消費者庁の資料では、浴室に暖房がない場合は浴槽にお湯を入れるときにシャワーから給湯する方法が紹介されています。シャワーの湯気で、浴室の空気を暖める工夫です。自動でお湯はりをする家なら、入る前にシャワーを壁や床にかけておく方法もあります。
沸いたらかき混ぜて、ふたを外しておく
浴槽のお湯が沸いたら、よくかき混ぜて湯気を立て、ふたを外しておくのも消費者庁がすすめる方法です。湯につかる前には、かけ湯を念入りにすることもすすめられています(出典:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」)。
脱衣所は小型の暖房で先に暖める
脱衣所やトイレに小型の暖房器具を置き、ほかの部屋との温度差を小さくすることも対策になります。窓からの冷気は、断熱性の高いガラスや厚手のカーテンで入りにくくする方法も紹介されています(出典:健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「住居内の温度管理と健康維持の関係」)。
消費者庁の資料には、居間や脱衣所が18℃未満の住宅では、42℃以上の熱めのお湯に入る人が増えるという研究結果も紹介されています。脱衣所を暖めることは、熱いお湯を避けることにもつながります。
入る時間帯を工夫する
家族がいる人は、ほかの人のあとに入ると、浴室が湯気ですでに暖まっています。また東京都健康長寿医療センターは、家族の目が届かない早朝や深夜の入浴を避けるよう呼びかけています。
窓まわりの冷気や結露が気になる家は、こちらも参考にしてください。
脱衣所に置く暖房器具の選び方と注意点
脱衣所は水しぶきや湿気がある場所です。どの暖房器具でも置いてよいわけではありません。買う前・使う前に、次の点を確認しましょう。
| 確認すること | 理由・見るところ |
|---|---|
| 洗面所・脱衣所で使えると書いてあるか | 取扱説明書や公式サイトで、使える場所を確認する |
| 「防滴」の表示があるか | 水がかかる場所での使用を想定しているかの目安になる |
| 転倒時に電源が切れるか | 狭い脱衣所では、足や洗濯かごが当たりやすい |
| 切タイマー・人感センサーがあるか | 消し忘れを防ぎやすい |
| 周りに燃えやすい物がないか | タオルや脱いだ服、洗濯物を近づけない |
「防滴仕様」でも、浴室の中に持ち込んだり、シャワーがかかる場所に置いたりしないでください。防滴は、上から落ちる水滴を想定した簡易的な保護です。濡れた手でプラグにさわらない、コンセントに水がかからない位置で使う、といった基本も守りましょう。消費電力が1kW以上の暖房器具は、定格15A以上のコンセントに接続するようメーカーが注意しています(参考:パナソニック「DS-FAS1200」)。
パナソニック セラミックファンヒーター DS-FAS1200
メーカーが「洗面所やトイレ、キッチンなどでの使用にも配慮した防滴仕様(IPX1)」と説明しているセラミックファンヒーターです。公式サイトによると、1〜5時間後に切れる切タイマー、強・弱の切り替え、倒れたり傾いたりすると通電を止める転倒OFFスイッチがあります。着替えのあいだなど、短い時間だけ暖めたい場面を想定した製品です(参考:パナソニック「セラミックファンヒーター DS-FAS1200 特長」)。
暖房の目安は、断熱材がない場合で木造住宅は約3畳、コンクリート住宅は約4畳です(公式サイトの仕様)。人感センサーの記載はないため、使い終わったら電源を切るか、切タイマーを使いましょう。価格は販売店や時期で変わるので、購入時に確認してください。
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※画像は楽天市場の販売ページより。価格・在庫・仕様はリンク先で最新情報をご確認ください。
入浴前・入浴中に守りたい5つのこと

消費者庁は、入浴中の事故を防ぐポイントを次のように示しています(出典:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」)。毎日のチェック表として使ってください。
| チェック | やること |
|---|---|
| □ 暖める | 入浴前に脱衣所と浴室を暖める |
| □ お湯の温度と時間 | 湯温は41℃以下、湯につかるのは10分までを目安に |
| □ 立ち上がり方 | 手すりや浴槽のへりを使って、ゆっくり立ち上がる |
| □ 入らないタイミング | 食後すぐ・飲酒後・精神安定剤や睡眠薬などの服用後、体調が悪いとき |
| □ 声かけ | 入浴前に同居の家族へひと声かける |
急に立ち上がると、立ちくらみが起きやすい
湯船の中では、体に水圧がかかっています。急に立ち上がると水圧がなくなり、脳に行く血液が減って、一時的に意識を失うことがあると消費者庁は説明しています。浴槽から出るときは、手すりやへりにつかまってゆっくり立ち上がりましょう。熱いお湯から立ち上がったときに、めまいや立ちくらみを起こしやすい人はとくに注意が必要です。
食後・飲酒後・薬を飲んだあとは避ける
食後は血圧が下がりすぎて失神することがあり、お酒でも一時的に血圧が下がります。消費者庁は、飲酒後はアルコールが抜けるまで入浴しないよう呼びかけています。精神安定剤や睡眠薬などを飲んだあとも、入浴は避けましょう。
お湯の温度は「感覚」ではなく数字で
給湯器の設定温度と、実際の湯船の温度はずれることがあります。追いだきを繰り返すと、思ったより熱くなっていることもあります。湯温計を使うと、41℃以下になっているかを数字で確かめられます。
ドリテック デジタル湯温計 ガーくん O-238
湯船に浮かべてお湯の温度をはかる、アヒル型のデジタル湯温計です。メーカー公式サイトによると、防水はIPX7相当、測定範囲は0〜45℃、約5秒ごとに測定します。39℃以上になると「HOT」の表示と赤いランプで知らせる仕組みです。メーカーは赤ちゃんの沐浴・湯浴向けとして紹介している製品です。大人の入浴では39℃以上でHOT表示が出るため、表示よりも数字で「41℃以下か」を見るようにしてください(参考:ドリテック「O-238 デジタル湯温計『ガーくん』」)。
寝る前の入浴は、時間の取り方で寝つきにも関わります。入浴のタイミングは、こちらで紹介しています。
参考:足が冷えて眠れない時の対策|入浴のタイミングと温めグッズ
家族ができること|浴槽でぐったりしていたら
入浴中の異変は、早く気づけるかどうかが大切です。消費者庁は「長時間入浴している」「音がしない」「突然大きな音がした」などに気づいたら、ためらわずに声をかけるよう呼びかけています。東京都健康長寿医療センターは、高齢者が入浴するときは家族が5分ごとに声をかけるか、様子を見に行くことをすすめています。
浴槽でぐったりしている人を見つけたら(消費者庁の手順)
- 浴槽の栓を抜く。大声で助けを呼び、人を集める
- 浴槽から出せるなら救出する(出せないときは、ふたに上半身を乗せるなどして沈まないようにする)。すぐに119番で救急車を呼ぶ
- 浴槽から出せたら、肩をたたきながら声をかけ、反応を確かめる
- 反応がなければ、普段どおりの呼吸があるかを確かめる
- 普段どおりの呼吸がない、または判断に迷うときは、胸骨圧迫を始める。119番の指示に従い、近くにAEDがあれば持ってきてもらう(参考:総務省消防庁「応急手当WEB講習」)
- 人工呼吸ができるなら、胸骨圧迫30回と人工呼吸2回をくり返す。できなければ胸骨圧迫だけを続ける
この手順は、消費者庁の注意喚起に「可能な範囲で対応しましょう」として示されているものです(出典:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」)。いざというときのために、救命講習を受けるなどして応急手当を覚えておくことも、同じ資料ですすめられています。
入浴後の不調と受診の目安
入浴のあとに気分が悪くなったときは、無理に動かず、転ばないよう安全な場所で横になりましょう。ひとりで我慢せず、家族に知らせてください。次のような様子があれば、ためらわずに救急車を呼びます。
受診の目安
- すぐに119番:呼びかけへの反応が悪い・意識がおかしい、ろれつが回りにくい、顔の半分や片方の腕・足が動かしにくい・しびれる、突然の激しい頭痛、胸の中央が締め付けられるような痛みが2〜3分続く、急にふらついて立っていられない
- 早めにかかりつけ医へ相談:入浴後の立ちくらみやめまいをくり返す、血圧や心臓の病気・糖尿病などで治療中で、入浴の仕方が不安
- 迷ったとき:地域に「#7119(救急安心センター事業)」があれば、救急車を呼ぶべきか相談できます。実施していない地域もあるので、お住まいの地域で確認してください
119番の目安は厚生労働省「上手な医療のかかり方」こんな時は迷わず119へ、#7119 は総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」をもとにしています。上に当てはまらなくても「いつもと様子が違う」と感じたら、迷わず相談してください。
脱衣所のヒートショック対策 よくある質問
Q. 若い人や持病のない人も気をつけたほうがいいですか?
入浴中の事故の多くは高齢者ですが、消費者庁は持病や前ぶれがなくても起こるおそれがあるとしています。「自分は元気だから大丈夫」と過信しないよう呼びかけています。家族全員で同じ入り方にしておくと、習慣として続けやすくなります。
Q. 半身浴なら長く入っても大丈夫ですか?
東京都健康長寿医療センターは、お湯を39〜41℃くらいにして長湯をしないこと、心不全や脳血管の病気がある人には半身浴をすすめています。半身浴なら長く入ってよいという意味ではありません。消費者庁の目安(湯につかるのは10分まで)も合わせて守りましょう。持病がある人は、入浴の仕方を主治医に確認しておくとより確実です。
Q. 脱衣所に電気ストーブや石油ストーブを置いてもいいですか?
製品によって、使ってよい場所が違います。取扱説明書で「洗面所・脱衣所で使えるか」「水がかかる場所での注意」を確認してください。狭い脱衣所では、タオルや服が暖房器具に触れないよう、置き場所にも気をつけましょう。
Q. 一人暮らしで声をかける家族がいません。
家族が気づける対策がとれないぶん、脱衣所と浴室を暖める、湯温と時間を守る、飲酒後は入らない、といった基本がより大切になります。体調が悪い日は入浴を見合わせて回復してからにする、入浴前に家族や知人へ連絡しておく、といった工夫もあります。
まとめ:脱衣所を暖めて、お湯はぬるめ・短めに
- 寒い脱衣所と熱いお湯の組み合わせで、血圧が大きく変動しやすい
- 浴室暖房がなければ、シャワーでお湯をはる・ふたを外す・小型暖房で脱衣所を暖める
- 脱衣所の暖房器具は、使える場所・防滴・転倒OFF・タイマーを確認する
- 湯温41℃以下・10分まで、ゆっくり立つ、食後・飲酒後・服薬後は入らない
- 家族は声をかけ合い、ぐったりしていたら栓を抜いて119番
今夜のお風呂から、入る前にシャワーを出して浴室を温めることと、家族へのひと声を始めてみてください。
参考にした情報
- 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」
- 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!-自宅の浴槽内での不慮の溺水事故が増えています-」(令和2年11月19日)
- 東京都健康長寿医療センター「ヒートショック」
- 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「住居内の温度管理と健康維持の関係」
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」
- 厚生労働省「上手な医療のかかり方」こんな時は迷わず119へ
- パナソニック「セラミックファンヒーター DS-FAS1200 特長」
- ドリテック「O-238 デジタル湯温計『ガーくん』」
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、効果には個人差があります。症状が気になる場合は医師にご相談ください。商品の価格や仕様は記事執筆時点(2026年10月)の情報です。紹介している暖房器具・湯温計は家電・雑貨であり、病気の予防や治療を目的としたものではありません。
