夕食のあと、こたつで横になってテレビを見ていたら、気づけば夜中。のどはカラカラで、足が妙に熱い――。冬になると、こんな「こたつで寝落ち」をする人は少なくありません。
先に結論をお伝えすると、こたつで寝るのは避けたほうがよい習慣です。とくに気をつけたいのは低温やけどと火災で、製品評価技術基盤機構(NITE)は、こたつを含む電気暖房器具を寝るときに使わないよう呼びかけています。眠くなったら電源を切って、布団へ移りましょう。
この記事では、こたつで寝ると体に何が起こりやすいのか、どんな人がとくに注意すべきか、寝落ちしてしまったあとの対処と受診の目安まで、公的機関の情報をもとに解説します。
この記事でわかること
- こたつで寝ると起こりやすい4つのこと(一覧表)
- 低温やけど・脱水・眠りの質への影響と、その理由
- 高齢者・子ども・糖尿病の人などが注意したい点
- 寝落ちしたあとに確かめることと、受診の目安
こたつで寝ると体に悪い?起こりやすい4つのこと
こたつは、座って短い時間あたたまるための暖房器具です。横になって何時間も同じ姿勢でいると、次のようなことが起こりやすくなります。
| 起こりやすいこと | 理由 | 気づくサイン |
|---|---|---|
| 低温やけど | 体の同じ場所が長時間温められる | 足や腰の赤み、ヒリヒリ感、水ぶくれ |
| 脱水 | 暖かい中で寝汗をかき、そのあいだ水分をとれない | のどの渇き、だるさ、尿の色が濃い |
| 眠りの質の低下 | 手足から熱が逃げにくく、眠りが浅くなりやすい | 夜中に目が覚める、朝のだるさ |
| 火災・コードの事故 | 布団や座布団がヒーターに触れる、コードを踏み続ける | 焦げたにおい、コードが熱い |
一方で、「こたつで寝ると必ず風邪をひく」「こたつで寝ると血栓ができる」といった話は、言い切れるほどの根拠が見当たりません。この記事では、公的機関が注意を呼びかけている内容を中心に紹介します。
低温やけど:気づかないうちに深くなることがある
低温やけどは、「暖かい」と感じる程度の温度でも、長い時間皮膚に当たり続けることで起こるやけどです。熱いと感じにくいため、気づかないうちに皮膚の奥まで傷つくことがあります。
NITEは、44℃では3〜4時間以上、46℃では30分〜1時間ほど、50℃では2〜3分で低温やけどを起こすとされる目安を紹介しています(出典:NITE「製品安全情報マガジン Vol.441『低温火傷による事故』」)。こたつで眠ると、足先やすね、腰などが同じ位置で温められ続けます。
こたつで寝て、足の指を失った事例も
消費者庁が紹介した事例では、70歳代の男性がこたつで寝て、朝起きると足の指から出血しており、やけどに気づきました。入院し、足の指の切断と皮膚の移植が必要になっています(出典:消費者庁「高齢者のやけどに御注意ください!」(平成27年11月))。
同じ資料では、低温やけどは普通のやけどより痛みが少なく、水ぶくれもできにくいため一見軽そうに見えても、深いやけどになっていることがあると説明されています。
湯たんぽや電気毛布での低温やけどを防ぐ使い方は、こちらでも紹介しています。
参考:足が冷えて眠れない時の対策|湯たんぽ・電気毛布の使い方
脱水:寝ているあいだの汗に気づきにくい

健康長寿ネットは、睡眠中や入浴中は思った以上に汗をかくと説明しています。こたつの中は暖かく、寝汗をかいても本人は気づきにくいうえ、寝ているあいだは水分をとれません。起きたときにのどが強く渇いている、だるい、立ちくらみがするといった場合は、水分が足りていないサインかもしれません。
とくに高齢者は、のどの渇きを感じる働きが弱まるため、水分が足りなくても気づきにくくなります。健康長寿ネットは、口の渇きがなくても定期的に水分をとる習慣をつけ、入浴前後や寝る前、起きたときにも水分をとることをすすめています(出典:健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「脱水症」)。
汗をたくさんかいたときの水分と塩分のとり方は、こちらで解説しています。
参考:汗をかいたときは塩分をとったほうがいい?とるタイミング
眠りの質:体が熱を逃がしにくくなる
人は眠りにつくとき、手足から熱を逃がして体の内部の温度(深部体温)を下げていきます。厚生労働省の情報サイトでは、厚手の靴下や電気毛布で手足を温めすぎると放熱が妨げられ、眠りの質が下がることがあると説明されています(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」)。
こたつで足や下半身を温め続ける状態も、これに近いと考えられます。さらに、上半身はこたつの外で冷えやすく、床の上で窮屈な姿勢のまま眠ることになります。夜中に目が覚めたり、朝に疲れが残ったりする原因になることがあります。
同じページでは、寝る1〜2時間前の入浴が寝つきをよくするとしています。眠くなってきたら、こたつを切ってお風呂か布団へ移りましょう。
暖かすぎる寝床で寝汗をかき、明け方に冷える人はこちらも参考にしてください。
火災・コードの事故を防ぐこたつの使い方

NITEには、こたつ布団をこたつの中に押し込んでヒーターに触れ、布団が焦げた事故や、収納時にコードをヒーターに巻き付けていたことで断線し、発火した事故が報告されています。NITEは、こたつでは低温やけどのおそれもあると説明し、電気暖房器具を寝るときには使わないよう強く呼びかけています(出典:NITE「製品安全情報マガジン Vol.418『電気暖房器具の事故』」)。
NITEがすすめるこたつの使い方
- こたつ布団・座布団・座いすが、中のヒーターに触れないようにする
- こたつなどの電気暖房器具で洗濯物や服を乾かさない
- 電源コードを引っ張らない、折り曲げない、踏まない(机やいすの脚の下敷きにも注意)
- しまうときにコードをヒーター部分へきつく巻き付けない
- シーズンの始めと毎回使う前に、電源コードに傷みがないか確かめる
- 電源プラグのほこりを定期的に掃除する(トラッキング現象の防止)
寝落ちが心配な人は、温度を「強」のままにしない、切タイマーがある製品ならタイマーを使う、眠くなる前に電源を切る、といった習慣も役立ちます。タイマーの有無や使い方は、お使いのこたつの取扱説明書で確認してください。
とくに注意したい人
次のような人は、こたつで眠ったときの影響が大きくなりやすいため、家族も一緒に気を配りましょう。
| 注意したい人 | 理由 |
|---|---|
| 高齢者 | 皮膚が薄く、感覚が鈍くなるため、熱に触れる時間が長くなり重症になりやすい。のどの渇きも感じにくい |
| 赤ちゃん・小さな子ども | 大人より体が小さく皮膚も薄いため、やけどが皮膚の奥まで届き、重くなりやすい |
| 糖尿病などで熱さや痛みを感じにくい人、血行に障害がある人 | 熱さに気づきにくく、低温やけどのおそれがある |
| お酒を飲んだ人、睡眠薬などを飲んだ人 | 深く眠りこみやすく、熱さや体の異変に気づいて起きることが難しくなると考えられる |
高齢者のやけどの説明は消費者庁「高齢者のやけどに御注意ください!」、子どもの皮膚については消費者庁の子ども安全メール(参考:消費者庁「Vol.610 暖房器具などによるやけどに注意!」)をもとにしています。消費者庁の資料には、使い捨てカイロの注意表示の例として「糖尿病等温感及び血行に障害を持つ方は、やけどのおそれがあるので、医師又は薬剤師に相談すること」も紹介されています。
赤ちゃんや小さな子どもを、こたつの中で寝かせないでください。寝てしまったら、こたつから出して布団に移しましょう。肌に赤みや水ぶくれがあるときは小児科に相談を。ぐったりして反応が鈍い、呼吸が弱い、くちびるが紫色といった様子があれば、すぐに119番してください。
こたつで寝落ちしたあとの対処と受診の目安
こたつで目が覚めたら、まず電源を切り、次の順で体の様子を確かめましょう。
- 水分をとる:水やお茶などを少しずつ飲む。立ちくらみがあるときは、急に立ち上がらない
- 肌を確かめる:足の指・足の裏・すね・腰など、ヒーターの近くにあった場所に赤みやヒリヒリ感、水ぶくれがないか見る
- 体調を確かめる:頭痛、吐き気、だるさが続かないか。家族が寝ていた場合は、呼びかけにしっかり反応するかも見る
- 布団で寝直す:こたつに戻らず、寝室の布団へ移る
消費者庁は、低温やけどは水で冷やしても効果はなく、見た目より重症の場合があるため、痛みや違和感があるときは医療機関を受診するよう呼びかけています(出典:消費者庁「高齢者のやけどに御注意ください!」)。
受診の目安
- すぐに119番:呼びかけへの反応が悪い・ぐったりしている、意識がもうろうとしている、突然の激しい頭痛、ろれつが回りにくい、顔の半分や片方の腕・足が動かしにくい、急にふらついて立っていられない
- 早めに皮膚科など医療機関へ:水ぶくれがある、皮膚が白っぽい・黒っぽく変色している、赤みやヒリヒリ感が続く(低温やけどは見た目より深いことがある)
- 早めに医療機関へ:吐き気が続いて水分をとれない、口や舌の乾き・だるさ・立ちくらみが水分をとっても続く。高齢者は症状が目立たないこともあるので、「いつもより元気がない」も目安に
- 迷ったとき:地域に「#7119(救急安心センター事業)」があれば相談できます(実施していない地域もあります)。子どもの急な病気やけがで迷ったときは、全国共通の「#8000(子ども医療電話相談)」に相談できます(受付時間は都道府県によって異なります。参考:厚生労働省「子どもの症状は#8000」)
119番の目安は厚生労働省「上手な医療のかかり方」こんな時は迷わず119へ、脱水のサインは健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「脱水症」、#7119・#8000 は総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」をもとにしています。
こたつで寝ることのよくある質問
Q. こたつで寝ると風邪をひくって本当ですか?
こたつで寝ると風邪をひく、と言い切れる根拠は見当たりません。ただ、低温やけどや火災を防ぐためにも、眠くなったら電源を切って布団へ移りましょう。
Q. 温度を「弱」にすれば寝ても大丈夫ですか?
低温やけどは、44℃程度の「暖かい」と感じる温度でも、長い時間当たり続けると起こります。「弱」にしても、同じ場所が何時間も温められるおそれは変わりません。NITEも、電気暖房器具を寝るときに使わないよう呼びかけています。
Q. 短い昼寝ならいいですか?
「少しだけ」のつもりが長くなるのが寝落ちです。横になるなら、こたつの電源を切ってから毛布をかけるか、ソファや布団に移りましょう。
Q. こたつで寝たあと、足がほてってかゆいです。
温めすぎや乾燥で、すねや足がかゆくなることがあります。赤みや水ぶくれがある、ヒリヒリ感が続く場合は低温やけどの可能性もあるので、皮膚科で相談してください。乾燥によるかゆみの対策は、上の関連記事「すねの粉ふき・かゆみ」で紹介しています。
まとめ:こたつは「座ってあたたまる」まで。眠くなったら布団へ
- こたつで寝ると、低温やけどや火災のおそれがある。寝ている間の汗による水分不足や、温めすぎによる眠りへの影響にも注意
- 低温やけどは痛みが少なくても深いことがある。水ぶくれや変色は受診を
- 高齢者・子ども・糖尿病の人・飲酒後や睡眠薬を飲んだ人はとくに注意
- 寝落ちしたら、電源を切る→水分をとる→肌を確かめる→布団へ
- 布団の押し込み、コードの踏みつけ、こたつ内での衣類乾燥はしない
今夜から、眠気を感じたらこたつの電源を切って布団へ移る、を家族の決まりにしてみてください。
参考にした情報
- NITE(製品評価技術基盤機構)「製品安全情報マガジン Vol.418『電気暖房器具の事故』」
- NITE(製品評価技術基盤機構)「製品安全情報マガジン Vol.441『低温火傷による事故』」
- 消費者庁「高齢者のやけどに御注意ください!」(平成27年11月18日)
- 消費者庁「Vol.610 暖房器具などによるやけどに注意!」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「快眠と生活習慣」
- 健康長寿ネット(長寿科学振興財団)「脱水症」
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(♯7119)ってナニ?」
- 厚生労働省「上手な医療のかかり方」こんな時は迷わず119へ
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、効果には個人差があります。症状が気になる場合は医師にご相談ください。記載の情報は記事執筆時点(2026年10月)のものです。
