子育ての悩み

子どもの口のまわりが赤い輪に|なめまわし皮膚炎の原因と冬のケア

子どもの口のまわりが赤い輪に

子どもの口のまわりが、輪を描いたように赤い。まず、どれに近いかを見てみましょう。

見た目・場面考えられることまずすること
唇と、舌が届く範囲が輪のように赤い。冬、唇をよくなめるなめまわし皮膚炎の可能性保湿と、なめるくせを叱らずに減らす
赤ちゃんで、よだれに濡れるところが赤いよだれかぶれこすらず押さえ拭きして保湿
食べたあとや食べ物に触れたあと、じんましん・かゆみ、口・唇・舌の違和感が急に出た食物アレルギーの可能性小児科へ。下の「緊急性が高いアレルギー症状」が1つでもあればすぐ119番
汁が出る、水ぶくれ、厚いかさぶた、広がるとびひの可能性すぐ皮膚科へ

舌が届く範囲に赤い輪があるなら、乾いた唇をなめる→なめた所がさらに乾く→またなめるの悪循環で起こる「なめまわし皮膚炎」の可能性があります。基本は、食後や歯みがき後に汚れをやさしく落とし、ワセリンなどで保湿して、なめるくせを叱らずに減らすことです。

汁が出てじゅくじゅくする・水ぶくれ・厚いかさぶた・赤みが広がるときは、とびひの可能性もあるのですぐ皮膚科へ。痛みが強い・ただれがひどい・よくならないときも皮膚科へ。くちびるの色が紫色、顔色が明らかに悪い、激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう、呼吸が弱い、意識がない・おかしい、嘔吐が止まらない、激しいおなかの痛みで苦しがる、いつもと違う・様子がおかしいときは、すぐ119番です。口のまわりの赤みやじんましんといっしょに、これらのサインが出たときも同じです。

食べたあとや食べ物に触れたあとは、「緊急性が高いアレルギー症状」が1つでもあれば、すぐ119番です。ぐったり、意識もうろう、声がかすれる、ゼーゼーする呼吸、息がしにくい、繰り返し吐き続けるなどの13項目で、次の章にすべて挙げています。

この記事でわかること

  • 受診の目安と、すぐ119番のサイン(子どもの救急のサイン・緊急性が高いアレルギー症状)
  • なめまわし皮膚炎が起こるしくみと、冬に起こりやすい理由
  • よだれかぶれ・食べ物・とびひ・アレルギーとの見分け方
  • 食後・歯みがき後のやさしい拭き方と保湿のタイミング
  • なめるくせを叱らずに減らす工夫

先に確認|受診の目安と、すぐ119番のサイン

次のどれかがあれば、すぐに119番で救急車を呼んでください:くちびるの色が紫色、顔色が明らかに悪い、激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう、呼吸が弱い、意識がない(返事がない)またはおかしい(もうろうとしている)、嘔吐が止まらない、激しいおなかの痛みで苦しがる、そのほかお母さんやお父さんから見て、いつもと違う・様子がおかしい(出典:総務省消防庁「こんなときにはすぐに119番!!(こども)」。厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」の子ども〈15歳以下〉の項目にも同じ内容が載っています)。口のまわりの赤みやじんましん、唇の腫れといっしょにこれらのサインが出たときも、119番です。唇・舌・口の中が急に腫れてきたときは、小児科の受診を待たずに、下の「緊急性が高いアレルギー症状」がないかをすぐ確かめ、迷うときは119番に電話してください。反応がなく、普段どおりの呼吸があるか判断に迷うときは、呼吸がないものとして胸骨圧迫を始めます(出典:総務省消防庁「応急手当WEB講習」)。

食べたあと・食べ物に触れたあとの「緊急性が高いアレルギー症状」

次のうち1つでも当てはまれば、すぐ119番で救急車を呼びます。

  • 全身の症状:ぐったり、意識もうろう、尿や便を漏らす、脈が触れにくいまたは不規則、唇や爪が青白い
  • 呼吸器の症状:のどや胸がしめ付けられる、声がかすれる、犬が吠えるような咳、息がしにくい、持続する強い咳き込み、ゼーゼーする呼吸(喘息と区別できない場合を含む)
  • 消化器の症状:持続する(がまんできない)強いお腹の痛み、繰り返し吐き続ける

環境再生保全機構の「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」は、アレルギー症状があって食べ物が関わっていそうなとき、原因の食べ物を食べた・触れた(可能性を含む)ときに、上の症状があるかを5分以内に判断し、1つでも当てはまれば救急車を要請し(119番)、その場で安静にして救急隊を待つよう示しています(出典:環境再生保全機構「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」)。当てはまらないときも、症状は急に変わることがあるので、少なくとも5分ごとに様子を見ます(同)。食物アレルギーでアドレナリンの薬(自己注射薬や点鼻薬)を処方されている子は、処方した医師の指示どおりに使い、119番で救急車を呼びます。

受診の目安(119番のサインも、緊急性が高いアレルギー症状もないとき)

  • すぐ皮膚科へ:汁が出てじゅくじゅくする、水ぶくれや膿をもった水ぶくれがある、厚いかさぶたがつく、赤みやただれがまわりに広がる(とびひの可能性)
  • 皮膚科へ:痛みが強い、ただれがひどい、保湿となめるくせの対策を続けてもよくならない
  • 小児科へ:食べたあとや食べ物に触れたあとに、じんましん・かゆみ、口・唇・舌の違和感が出た(食物アレルギーの可能性。上の緊急性が高いアレルギー症状が1つでもあれば119番)

(出典:とびひは京都市「とびひ(伝染性膿痂疹)」・日本皮膚科学会「皮膚科Q&A とびひ Q4」・同 Q7、痛み・ただれ・よくならないときは茨城県メディカルセンター「冬の子どもの肌トラブルに要注意!なめまわし皮膚炎とは?」、食後の症状は横浜市アレルギー情報サイト「食物アレルギー」)

京都市は「とびひかな?」と思ったら、すぐに皮膚科を受診するよう呼びかけています。食後の症状で受診するときは、食べたもの・量・症状が出るまでの時間を医師に伝えましょう(出典:横浜市アレルギー情報サイト「食物アレルギー」)。119番のサインや緊急性が高いアレルギー症状がなく、休日・夜間に受診を迷うときは、子ども医療電話相談#8000で小児科医や看護師に相談できます。休日・夜間の相談窓口で、受付時間は都道府県で異なります(出典:厚生労働省「子どもの症状は♯8000」)。

口のまわりが赤い輪になるのはなぜ?なめる→乾くの悪循環

なめまわし皮膚炎は、「舌なめずり皮膚炎」「口なめ病」とも呼ばれます。冬の乾燥する時期に、幼児を中心に見られる皮膚の病気で、口のまわりに赤みや腫れ、ただれが出て、ヒリヒリした痛みがあります。唇が妙に赤い、口のまわりの舌の届く範囲に赤い輪がある、というのが特徴です(出典:茨城県メディカルセンター「冬の子どもの肌トラブルに要注意!なめまわし皮膚炎とは?」)。皮膚科の講演でも、小児に多い口のまわりの湿疹として「舐め回し皮膚炎」が挙げられています(参考:マルホ皮膚科セミナー(ラジオNIKKEI)「口唇・口囲に生じる皮膚疾患の診方」)。

  1. 冬の乾燥で唇がカサカサになる
  2. うるおそうとして舌でなめる
  3. なめた瞬間はうるおっても、水分が蒸発しやすくなり、かえって乾燥が進む
  4. また、なめる。唇とまわりの皮膚が傷ついて炎症が起こる

茨城県メディカルセンターの解説では、寒い冬は皮脂や汗の分泌が減って肌を守る膜が薄くなり、暖房で乾いた空気の中では唇が荒れやすいとされています。乾燥が大元の原因なので、乾燥する時期やアトピー性皮膚炎のある子は特に注意が必要です。

見分けの目安|よだれかぶれ・食べ物・とびひ・アレルギーとの違い

口のまわりの赤みは、なめまわし皮膚炎とは限りません(茨城県メディカルセンター)。年齢や、赤くなる場面・見た目で目安をつけ、迷うときは受診して確かめましょう。

考えられること年齢・場面赤みの場所・見た目対応の目安
なめまわし皮膚炎幼児を中心に。冬の乾燥する時期唇と、舌が届く範囲の輪のような赤み。ヒリヒリ保湿と、なめるくせを叱らずに減らす。痛みが強い・ただれがひどい、よくならないときは皮膚科
よだれかぶれ赤ちゃん。唾液が増える生後5〜6か月ごろから口のまわりやあごなど、よだれや食べ物がつくところこすらず押さえ拭きし、水気をとって保湿
食べ物によるかぶれ(接触皮膚炎)食べ物が触れたあと食べ物が触れたところだけの赤み・ヒリつき食後は口のまわりの汚れをやさしく落とす。繰り返す・広がるときは小児科か皮膚科へ
食物アレルギーの可能性多くは食後2〜3時間以内に症状が出る。食べ物が触れた直後のじんましんも、かぶれと決めずにこちらで考える皮膚の赤み・じんましん・かゆみ。口・唇・舌の違和感小児科へ。緊急性が高いアレルギー症状(ぐったり・声がかすれる・ゼーゼーする呼吸・息がしにくい・繰り返し吐き続けるなど13項目)が1つでもあればすぐ119番
とびひ(伝染性膿痂疹)かき壊した傷や虫刺されのあとなど水ぶくれ・膿、ただれ、厚いかさぶた。まわりへ広がるすぐ皮膚科。触った手を介して広がるので、患部を触らせない

(出典:なめまわし皮膚炎は茨城県メディカルセンター、よだれかぶれは相模原協同病院 病児保育室「みどりっこだより 赤ちゃんのよだれについて」、食べ物によるかぶれ(食物による接触皮膚炎)は日本皮膚科学会「皮膚科Q&A かぶれ Q12」、食物アレルギーは横浜市「食物アレルギー」、緊急性が高いアレルギー症状は環境再生保全機構「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」、とびひは日本皮膚科学会「とびひ Q4・Q7」と京都市の資料)

日本皮膚科学会は、食べ物による接触皮膚炎を、とげなどによる刺激性のもの、アレルギー性のもの、触った直後にじんましんが出る「接触蕁麻疹」などに分けています(出典:日本皮膚科学会「皮膚科Q&A かぶれ Q12」)。見た目だけで見分けるのは難しいので、触れたところだけの赤みやヒリつきでも繰り返すときは受診を。じんましん、かゆみ、口・唇・舌の違和感が急に出たときは、食物アレルギーの可能性として小児科へ相談し、緊急性が高いアレルギー症状が1つでもあれば119番です。

赤ちゃんの口のまわりの赤みは「赤ちゃんのよだれかぶれ|拭き方・受診の目安」、大人の口のまわりの粉ふきは「冬に口周りだけ粉をふく原因と対策」で詳しく扱っています。

食後・歯みがき後のやさしい拭き方

棚に重ねた白いタオル。子どもの口のまわりが赤いときは、食後にこすらず押さえ拭きして保湿する

食べ物や飲み物、歯みがき粉を口のまわりに残さず、清潔に保つことも予防の一つとされています(茨城県メディカルセンター)。拭き方は、赤ちゃんのよだれかぶれの対策として紹介されている方法が参考になります(参考:相模原協同病院「みどりっこだより」)。

  1. 押さえて拭く:こすると刺激になるので、軽く湿らせたやわらかいガーゼやタオルで、ポンポンと押さえるように拭きます
  2. 汚れが多いときは洗い流す:ぬるま湯か水で、指の腹を使ってやさしく流します。熱めのお湯は必要な皮脂まで奪うことがあります
  3. 水気を押さえてとる:濡れたままにせず、乾いたガーゼで押さえて水分をとります
  4. すぐに保湿する:水気をとったら、次の章の方法で保湿します

歯みがきのあとは、口のまわりについた泡を流してから押さえ拭きを。小学生なら、鏡を見ながら自分で押さえ拭きする練習をすると、外でも続けやすくなります。

保湿のしかた|ワセリンなどを塗るタイミング

茨城県メディカルセンターの解説では、なめまわし皮膚炎の治療は、一般的には保湿剤を繰り返し塗る方法とされています。家庭でのケアとしては、清潔を保ったうえでワセリンやリップクリームを塗り、唇と肌を乾燥から守ることがすすめられています。

タイミングやること
食後・歯みがき後押さえ拭きで汚れを落とし、水気をとってから薄く塗る
なめているのに気づいたとき唾液を押さえ拭きしてから塗り直す
寝ついたあと・起きる前子どもは塗ってもすぐなめてしまうことが多いため、この時間に塗る方法も紹介されている

ワセリンには、化粧品として売られているものと医薬品のものがあります。区分はパッケージの表示で確かめましょう。じゅくじゅくしている・ただれているところに、自己判断で塗り重ねて様子を見続けないでください。赤みやただれのあるところに塗るものは、皮膚科・小児科や薬剤師に相談を。塗ってしみる、赤みが増すときは使うのをやめて受診しましょう。唇のケアやリップの選び方は「唇の乾燥・皮むけが治らない原因と対策」も参考にしてください。

なめるくせを叱らずに減らす工夫

なめまわし皮膚炎は、指しゃぶりや爪かみと同じく、子どもの習慣が原因の皮膚炎とされています。やめさせようと叱ったり注意したりしても、ほとんど効果がなく、かえって悪化させてしまうこともあるとされています(茨城県メディカルセンター)。

  • 「なめないで」より「塗ろうか」:なめているのに気づいたら、注意する代わりに保湿に誘います
  • 乾く前に塗る:唇がカサついてからではなく、食後・歯みがき後・寝る前など、時間を決めて塗ります
  • 水分をこまめに:冬は汗をかきにくく、水分不足に気づきにくいため、少し冷ました白湯などをこまめに飲ませるようすすめられています(茨城県メディカルセンター)
  • 部屋の乾燥を見直す:暖房中は空気が乾きやすくなります。加湿器を使うときは置き場所にも注意を。参考:加湿器の置き場所|やけど・転倒を防ぐ置き方
  • 小学生には理由を話す:「なめると乾いて、もっとなめたくなる」しくみを伝え、自分で塗れるリップを持たせるのも一つの方法です

子どもの口のまわりの赤みのよくある質問

Q. 家にある塗り薬を塗ってもいいですか?

大人やきょうだいに処方された薬、以前の残りの薬を自己判断で塗るのはやめましょう。口のまわりの赤みは原因によって対応が変わります。塗り薬が必要かどうかは、皮膚科・小児科で相談してください。市販薬を使いたいときは、薬剤師に子どもの年齢と症状を伝えて相談しましょう。

Q. リップクリームを塗ると、かえってなめてしまいます

塗ってもすぐなめてしまう子は多いため、寝ついたあとや起きる前に塗る方法が紹介されています(茨城県メディカルセンター)。味や香りのついたものは、なめるきっかけにならないか様子を見ましょう。塗ってしみる・赤みが増すときは使うのをやめて受診を。

Q. 皮膚科と小児科、どちらに行けばいいですか?

どちらでも相談できます。汁が出る・水ぶくれ・厚いかさぶたが広がるなど、とびひが疑われるときはすぐ皮膚科へ。食べたあとや食べ物に触れたあとのじんましん・かゆみ、口・唇・舌の違和感は、食物アレルギーの可能性として小児科へ。くちびるの色が紫色、顔色が明らかに悪い、激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう、呼吸が弱い、意識がない・おかしい、嘔吐が止まらない、激しいおなかの痛みで苦しがる、いつもと違う・様子がおかしいときは119番です。食べたあと・触れたあとに、「先に確認」の章で挙げた緊急性が高いアレルギー症状(13項目)が1つでもあるときも119番です。どちらもなく、休日・夜間に迷うときは#8000に相談できます。

まとめ:口のまわりの赤い輪は、保湿してなめるくせを叱らずに減らす

  • くちびるの色が紫色、顔色が明らかに悪い、激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう、呼吸が弱い、意識がない・おかしい、嘔吐が止まらない、激しいおなかの痛みで苦しがる、いつもと違う・様子がおかしいときは119番(口のまわりの赤みやじんましんといっしょに出たときも)
  • 食べたあと・食べ物に触れたあとに、緊急性が高いアレルギー症状(ぐったり、意識もうろう、尿や便を漏らす、脈が触れにくいまたは不規則、唇や爪が青白い、のどや胸がしめ付けられる、声がかすれる、犬が吠えるような咳、息がしにくい、持続する強い咳き込み、ゼーゼーする呼吸、持続する(がまんできない)強いお腹の痛み、繰り返し吐き続ける)が1つでもあれば119番。アドレナリンの薬を処方されている子は医師の指示どおりに使い、119番
  • じゅくじゅく・水ぶくれ・厚いかさぶた・赤みが広がる(とびひの可能性)はすぐ皮膚科。痛みが強い・ただれがひどい、よくならないときは皮膚科へ。食べたあと・触れたあとのじんましんや口・唇・舌の違和感は、食物アレルギーの可能性として小児科へ
  • 119番のサインも緊急性が高いアレルギー症状もなく、休日・夜間に迷うときは#8000(受付時間は都道府県で異なる)
  • 舌が届く範囲の赤い輪は、なめまわし皮膚炎の可能性。乾燥→なめる→さらに乾く、の悪循環で起こる
  • 食後・歯みがき後は押さえ拭きで汚れを落とし、水気をとってワセリンなどで保湿。寝ついたあとに塗る方法も
  • 叱らずに「塗ろうか」と誘う。水分と部屋の乾燥も見直す

参考にした情報

※この記事は一般的な情報をまとめたもので、効果には個人差があります。症状が気になる場合は医師にご相談ください。

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