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お風呂から上がって体を拭いていると、すねやおなか、背中がムズムズしてくる。冬になるとこのかゆみが増えて、つい掻いてしまう人は多いはずです。
先に結論をお伝えすると、お風呂上がりのかゆみは、「熱いお湯・長湯・こすり洗い・洗浄力の強い石けん」で肌のうるおいが流れ、乾いた肌が刺激に敏感になっていることが一因として考えられます。お湯をぬるめに・手で泡洗い・上がったら保湿を習慣にするの3つを見直すと、かゆみが出にくくなります。
ただし、ブツブツが出る・発疹がないのに全身がかゆい、といった場合は、じんましんや内臓の病気が関わっていることもあります。この記事では、入浴まわりの習慣の見直し方と、皮膚科・内科に相談したい目安を順番に解説します。
この記事でわかること
- お風呂上がりに体がかゆくなる5つの原因
- お湯の温度・つかる時間・洗い方の目安(チェック表)
- 上がってからの保湿のタイミングと塗り方
- ボディソープ・保湿剤の選び方と市販品3つ
- じんましん・皮膚そう痒症との違いと、受診の目安
お風呂上がりに体がかゆくなる5つの原因
日本皮膚科学会の手引きでは、皮膚が乾燥する要因として、年齢や冬の低湿度に加えて「過度の入浴、脱脂作用の強い洗浄料や擦り洗いなど不適切なスキンケア」を挙げています(出典:日本皮膚科学会「皮脂欠乏症診療の手引き2021」)。つまり、お風呂の入り方そのものが、かゆみのきっかけになりやすいのです。
①熱いお湯につかる
寒い日は熱いお湯が気持ちよく感じますが、熱いお湯は肌のうるおいを保つ皮脂を落としやすいと言われています。体が温まること自体で、かゆみが強くなる人もいます。
②長湯・1日に何度も入る
MSDマニュアル家庭版では、乾燥肌の一般的な原因として「入浴のしすぎや洗いすぎ」を挙げ、乾燥によるかゆみは冬や入浴後に出たり悪化したりしやすいとしています(出典:MSDマニュアル家庭版「かゆみ」)。
③ナイロンタオルやブラシでこする
皮脂欠乏症の手引きでは、ナイロンタオルやブラシでこすると角層から水分が逃げやすくなり、乾燥を進めるとしています。「しっかりこすらないと洗った気がしない」という習慣が、冬のかゆみにつながっていることもあります。
④洗浄力の強いボディソープ・すすぎ残し
手引きによると、石けんやボディソープの主成分は界面活性剤で、使いすぎやすすぎ残しは乾燥を悪化させるおそれがあります。シャンプーやコンディショナーが背中に残るのも同じなので、最後に体をよく流します。
⑤上がったあと、乾いた部屋で何も塗らない
入浴後は、角層から水分が蒸発しやすい状態です。冬は暖房で部屋の湿度も下がるため、保湿をしないまま過ごすと、肌の乾燥とかゆみが進みやすくなります。
かゆみが出にくい入浴の目安(温度・時間・洗い方)

日本皮膚科学会の皮膚瘙痒症のガイドラインでは、スキンケアの例として「かゆみを生じるほどの高い温度の湯は避ける」「ナイロンタオルや硬めのタオルの使用を控える」「石鹸・シャンプーは残らないように十分にすすぐ」などを挙げています(出典:日本皮膚科学会「皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020」)。これを、毎日のお風呂で確かめやすい形にまとめました。
| 見直す点 | こうしていませんか? | かゆみが出にくい目安 |
|---|---|---|
| お湯の温度 | 「熱い」と感じるお湯が好き | 38〜40℃程度の、熱いと感じない温度 |
| つかる時間 | 汗をかくまで長くつかる | 長くつかりすぎず、温まったら上がる(入浴事故を防ぐ目安は10分まで) |
| 洗う道具 | ナイロンタオル・ボディブラシ | よく泡立てて、手のひらでなでるように洗う |
| 洗う範囲 | 毎日全身を石けんで洗う | 汗や皮脂の多いところ中心に。乾燥が強いすね・腕は石けんを控えめに |
| すすぎ | 泡が少し残っても気にしない | シャンプーのあとも含めて、体全体をよく流す |
| 拭き方 | タオルでゴシゴシ拭く | やわらかいタオルで押さえるように拭く |
お湯の温度について、日本皮膚科学会などのアトピー性皮膚炎のガイドラインでは、皮膚のバリア機能の回復に適した温度として38〜40℃がよいとし、42℃以上の湯はかゆみを引き起こすため勧められないとしています(出典:日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」)。アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインの記載ですが、皮膚にとってのお湯の温度を考える目安になります。
これとは別に、消費者庁は冬の入浴中の事故を防ぐ目安として「湯温は41度以下、湯につかる時間は10分まで」を示しています(出典:消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」)。肌のためにも体のためにも、熱すぎ・長すぎを避けるのが基本です。
体を洗うのは「泡を手で」
手引きでは、石けんや洗浄剤をよく泡立て、泡を手のひらに取ってやさしく洗うよう勧めています。泡で出るボディソープなら、泡立てる手間も省けます。汚れはお湯だけでは落ちにくいこともあるため、目指すのは「洗わない」ではなく「こすらない・残さない」です。
入浴剤は「ほてらないもの」を
同じガイドラインでは、入浴後のほてりを感じさせる入浴剤は避けるとしています。温まる感じが強い入浴剤で上がったあとにかゆくなる人は、使うのをやめてみるか、保湿成分が中心のものに替えてみてください。
上がってからの保湿は「拭いたらそのまま」が続けやすい

「お風呂上がり5分以内に塗らないと意味がない」と聞いたことがあるかもしれません。日本皮膚科学会の手引きでは、入浴後は角層から水分が蒸発するため「直後でなくても良いが、保湿剤を外用すべき」としています。入浴1分後と1時間後に塗った場合で角層の水分量に差がなかったという報告も紹介されています(出典:日本皮膚科学会「皮脂欠乏症診療の手引き2021」)。
大切なのは、秒単位の早さより毎日忘れずに塗ることです。体を拭いて服を着る前に塗る、と決めておくと習慣にしやすくなります。
- 保湿剤は脱衣所に置く:取りに行く手間がなくなり、塗り忘れが減ります。脱衣所が寒い場合は、先に暖めておくと体が冷えにくくなります。
- かゆくなりやすい場所から塗る:すね・太もも・腰・おなか・腕の外側など、乾燥しやすい場所を優先します。
- 量はけちらない:手のひらでなでたときに、少ししっとりするくらいが目安です。足りないと乾燥が残りやすくなります。
- すり込まずに広げる:手のひら全体で、毛の流れに沿ってなでるように広げます。
- 部屋の乾燥もやわらげる:手引きでは、冬の暖房で室内の湿度が下がることから、加湿器などによる対策も必要としています。
手が届きにくい背中のかゆみは、塗り方のコツを別の記事でまとめています。
上がったあとの服・寝具も見直す
手引きでは、羊毛素材やごわごわした素材の衣類などの軽い刺激でもかゆみが出るため、刺激のない衣類を選ぶよう勧めています。お風呂上がりに着るパジャマや肌着は、肌あたりのやわらかいものにしましょう。寝る前に電気毛布などで布団を温めすぎると、体がほてってかゆみが強くなることもあります。
ボディソープと保湿剤の選び方
市販品は、「区分(化粧品・医薬部外品・医薬品)」と「使いやすさ」の2つで選ぶと迷いにくくなります。手引きでも、一時的・軽い乾燥には一般用医薬品・医薬部外品・化粧品の保湿剤を使い、生活習慣を見直すことが大切だとしています。
| 区分 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 化粧品の保湿剤 | 肌にうるおいを与える。種類が多く選びやすい | カサつきが少し気になる・予防として使いたい人 |
| 医薬部外品のボディソープ・保湿剤 | 肌荒れを防ぐなど、認められた効能の有効成分が入っている | 乾燥で肌が荒れやすい・洗うときの刺激をへらしたい人 |
| ヘパリン類似物質などの医薬品 | 乾皮症(乾燥肌)などに使う医薬品。効能・用法は添付文書のとおり | 粉をふく・ガサガサが続くなど、乾燥がはっきりしている人 |
- ボディソープ:「低刺激性」「弱酸性」と書かれたもの、泡で出るタイプは、こすらずに洗いやすい
- 保湿剤:全身に塗るなら、のびのよいローション・乳液タイプが短時間で済む
- 香り:かゆみが出やすい時期は、無香料のものを選ぶと刺激の心配をへらせる
入浴まわりのケアに使いやすい市販品3つ
「洗う」「毎日塗る」「乾燥が強いときに塗る」の役割で1つずつ選びました。順位ではありません。
| 商品名 | 区分 | タイプ・容量 | メーカー・添付文書の説明 |
|---|---|---|---|
| キュレル 泡ボディウォッシュ | 医薬部外品 | 泡で出るポンプ・480mL | 有効成分グリチルリチン酸ジカリウム。肌荒れを防ぐ。低刺激性・弱酸性・無香料 |
| キュレル ローション | 医薬部外品 | ローション・220mL | 有効成分アラントイン。荒れ性に、肌荒れを防ぐ。顔・からだ用 |
| ヒルマイルドローション | 第2類医薬品 | ローション・120g | ヘパリン類似物質0.3%配合。効能に乾皮症・手指のあれなど |
こすらず洗いたい人に:キュレル 泡ボディウォッシュ(医薬部外品)
ポンプを押すと泡で出るので、ナイロンタオルを使わずに手で洗う習慣に切り替えやすいボディソープです。花王の公式サイトでは、肌にやさしい低刺激性で、弱酸性・無香料・無着色と説明されています。使用上の注意には、傷・湿疹など異常のあるときは使わないこと、刺激などの異常が出たら使用を中止して皮フ科医へ相談することが書かれています(出典:花王「キュレル 泡ボディウォッシュ ポンプ 480ml」)。
毎日の保湿に:キュレル ローション(医薬部外品)
のびのよいローションで、お風呂上がりに全身へ塗り広げやすいタイプです。公式サイトでは、顔とからだに使えること、エチルアルコール無添加であることが案内されています。使用上の注意には、傷・はれもの・湿疹など異常のある所には使わないこと、赤み・はれ・かゆみ・刺激などの異常が出たら使用を中止して皮フ科医へ相談することが書かれています(出典:花王「キュレル ローション 220ml」)。
粉ふき・ガサガサが続くとき:ヒルマイルドローション(第2類医薬品)
ヘパリン類似物質を配合した医薬品です。添付文書の効能・効果には「乾皮症」「手指のあれ」などがあり、かゆみ止めの成分が入った薬ではありません。血友病などの出血性血液疾患がある人は使えず、目のまわりや粘膜にも使いません。5〜6日使ってもよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師・登録販売者に相談するよう記載されています(出典:PMDA「ヒルマイルドローション」添付文書情報)。
医薬品は、使う前に添付文書(外箱の説明)を読んでください。使ったあとに赤み・かゆみ・はれなどが出た場合は使用を中止し、医師・薬剤師・登録販売者に相談しましょう。
ブツブツが出るなら、じんましんの可能性も
お風呂上がりのかゆみは肌の乾燥が一因として考えられますが、肌にブツブツやみみず腫れのような膨らみが出る場合は、じんましんのこともあります。
日本皮膚科学会の皮膚科Q&Aでは、入浴や運動で体が温まったときや緊張して汗をかいたときに出るじんましんを「コリン性蕁麻疹」と説明しています。一つひとつのブツブツは1〜4mmほどと小さく、多くは30分〜1時間ほどで消えるとされています(出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「蕁麻疹 Q6 風呂上がりに出るブツブツもそうですか?」)。また、じんましんのきっかけには、こすれ・圧迫・寒冷・日光などと並んで「温熱」も挙げられています(出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「蕁麻疹 Q7」)。
| タイプ | 肌の見た目 | 出かた |
|---|---|---|
| 乾燥によるかゆみ | カサカサ・粉ふき。ひどくなると赤みや湿疹 | すね・腰・腕などに出やすい。冬に強くなる |
| コリン性蕁麻疹 | 1〜4mmほどの小さなブツブツ | 体が温まる・汗をかくと出て、多くは1時間ほどで消える |
| 温熱によるじんましん | 赤い膨らみ(膨疹) | 温かいものにふれる・温まるときっかけになる |
| 皮膚そう痒症 | 目立った発疹がない | 全身または一部が、はっきりした理由なくかゆい |
見た目だけで区別するのは難しいので、ブツブツが毎回出る場合は皮膚科で相談してください。出ているときの写真を撮っておくと伝えやすくなります。
発疹がないのに全身がかゆいとき
皮膚に目立つ変化がないのに体中がかゆい状態は「皮膚そう痒症」と呼ばれます。肌の乾燥でかゆくなることもありますが、それだけでなく腎臓、肝臓・胆道の病気、糖尿病やホルモンの異常、血液や内臓の病気、飲んでいる薬などが関わることもあるとされています(出典:日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「痒疹・かゆみ Q6」)。保湿を続けても全身のかゆみが長く続くときは、皮膚科や内科で相談してください。
こんなかゆみは皮膚科・内科へ
受診を考えたい目安
- かゆみで眠れない・掻き壊して傷やジュクジュクがある
- 赤い湿疹が広がっている、保湿を続けても良くならない(市販の医薬品は、添付文書の日数で改善しなければ相談)
- お風呂上がりのたびにブツブツやみみず腫れが出る
- まぶたや唇の腫れに、急な息切れ・呼吸困難などを伴う(迷わず119番へ)(出典:厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」)
- 発疹がないのに全身のかゆみが続く
- かゆみと一緒に、だるさ・体重減少・寝汗、皮膚や白目が黄色い、のどの渇き・尿が多いなどがある
MSDマニュアル家庭版では、かゆみに体重減少・疲労・寝汗がある場合や、腹痛・黄疸、強いのどの渇き・頻尿がある場合は、ほかの病気が隠れている可能性があるとして受診を勧めています(出典:MSDマニュアル家庭版「かゆみ」)。皮膚の症状が中心なら皮膚科、全身の症状もあるなら内科が相談先の目安です。自己判断で様子を見すぎないようにしましょう。
お風呂上がりのかゆみのよくある質問
Q. 足だけがお風呂上がりにかゆくなるのはなぜ?
すねやふくらはぎは皮脂が少なく、もともと乾燥しやすい場所です。靴下やズボンのこすれも重なるため、冬はかゆみが出やすくなります。足は石けんを控えめにして、上がったら最初に保湿しましょう。
Q. シャワーだけなら大丈夫ですか?
シャワーでも、熱いお湯を長く当てたり、ナイロンタオルでこすったりすれば乾燥は進みます。温度を下げ、泡を手で洗うのは同じです。上がったら体が冷える前に拭いて保湿し、服を着てください。
Q. 汗をかいたあともかゆくなります
汗が肌に残ると、かぶれのようなかゆみが出ることがあります。首まわりの汗かぶれについては、こちらで解説しています。
まとめ:お風呂上がりのかゆみは「ぬるめ・手で泡洗い・毎日保湿」
- 考えられる原因の一つは、熱いお湯・長湯・こすり洗い・洗浄料の使いすぎによる乾燥
- お湯は38〜40℃程度のぬるめに。つかる時間は、入浴事故を防ぐ目安の10分までを参考に
- ナイロンタオルはやめて、泡を手のひらでなでるように洗い、よくすすぐ
- 保湿は直後でなくてもよいが、毎日忘れずに。脱衣所に置くと続けやすい
- ブツブツが出る・全身のかゆみが続く・ほかの症状もあるときは受診を
まずは今夜、お湯の温度を少し下げて、ナイロンタオルを使わずに洗うところから試してみてください。部屋の乾燥が気になる人は、加湿器の選び方もあわせて参考にしてください。
参考にした情報
- 日本皮膚科学会「皮脂欠乏症診療の手引き2021」
- 日本皮膚科学会「皮膚瘙痒症診療ガイドライン2020」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「蕁麻疹 Q6 風呂上がりに出るブツブツもそうですか?」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「蕁麻疹 Q7」
- 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「痒疹・かゆみ Q6」
- 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2021」
- MSDマニュアル家庭版「かゆみ」
- 消費者庁「冬季に多発する高齢者の入浴中の事故に御注意ください!」
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
- PMDA「ヒルマイルドローション」添付文書情報
- 花王「キュレル 泡ボディウォッシュ ポンプ 480ml」
- 花王「キュレル ローション 220ml」
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、効果には個人差があります。症状が気になる場合は医師にご相談ください。商品の価格や仕様は記事執筆時点(2026年10月)の情報です。医薬品は添付文書をよく読んでお使いください。
