暖房の部屋で鼻の中が乾いてヒリヒリする。鼻をかんだら、ティッシュに血がついていた。冬に多い悩みです。
暖房で乾いた空気が、鼻の入り口から少し入ったところの、血管が集まった粘膜を乾かし、傷つきやすくすることが一因と考えられます。鼻血が出たら、座ってやや下を向き、小鼻をつまんで約10分しっかり押さえるのが基本です。上を向く、首の後ろをたたく、ティッシュを奥に詰めるのは避けましょう。
鼻血に加えて、支えなしで立てないほど急にふらつく、顔色が明らかに悪い、意識がおかしい、息が苦しいときは119番です。10分押さえ、もう10分押さえても止まらないとき、勢いが強いときは、早めに耳鼻咽喉科か救急病院を受診してください。
この記事でわかること
- 暖房の季節に鼻の中が乾き、鼻血が出やすくなる理由
- 学会が示す鼻血の止め方と、避けたい止め方
- 乾燥を防ぐ工夫と、ワセリンを鼻の奥に塗る前の注意
- 受診の目安と、119番を呼ぶサイン
暖房で鼻の中が乾いてヒリヒリ・鼻血が出るのはなぜ?
鼻の入り口から約1cmのところは、血管が網の目のように集まっている
鼻血は、おもに左右の鼻を分ける仕切り(鼻中隔)の粘膜から出ます。とくに鼻の入り口から約1cm入ったところは血管が網の目のようになっていて、くり返し出血しやすい場所です(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血」)。この場所は「キーゼルバッハ部位」と呼ばれます(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血-意外と知らない」)。
冬の乾燥に、鼻をかむ・いじる刺激が重なる
MSDマニュアル家庭版は、鼻血のよくある原因として、鼻をかむ・鼻をほじるといった刺激と、冬によくみられる鼻の粘膜の乾燥を挙げています(出典:MSDマニュアル家庭版「鼻出血」)。暖房で部屋の湿度が下がると、鼻の粘膜も乾きやすくなると考えられます。
鼻の粘膜には毛細血管が豊富で、とくに原因がなくても出血することがあります。一方で、血圧が高い人や血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は小さな傷でも止まりにくく、上顎がんなどの腫瘍が鼻血の原因になることもあるとされています(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」)。「乾燥のせい」と決めつけず、後半の受診の目安もあわせて確認してください。
鼻の穴の外側、鼻の下の皮膚がヒリヒリするときは、こちらを参考にしてください。
参考:鼻のかみすぎで鼻の下がヒリヒリ・赤いときの対処法|拭き方と保護
鼻血が出たときの正しい止め方
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、出血している場所を押さえる「圧迫止血」を原則としています(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血」)。子ども向けのページですが、大人も同じ手順で押さえます。
鼻血の止め方の手順
- いすなどに座る。横になるときも、あおむけは避ける
- 顔は上に向けず、やや下向きにする
- 小鼻(鼻のやわらかい部分)を中心に、鼻全体を親指と人差し指で約10分しっかり押さえる
- のどにまわってきた血は飲み込まず、口から外に出す
押さえるのは、上のかたい骨の部分ではなく下のやわらかい小鼻です。MSDマニュアル家庭版は、10分間途中で手を離さないことが大切だとしています。止まらなければもう10分同じように押さえ、それでも止まらなければ医師の診察を受けるよう案内しています(出典:MSDマニュアル家庭版「鼻出血」)。学会も、押さえても止まらない場合は早めの受診を勧めています。
止まったあとも、しばらくは強く鼻をかんだり、鼻の中をさわったりしないようにしましょう。
やりがちだけど避けたい鼻血の止め方
昔から言われている方法の中には、勧められていないものがあります。
| 避けたい方法 | 理由 |
|---|---|
| 上を向く・あおむけに寝る | 学会は顔をやや下向きにし、あおむけを避けるよう案内。血がのどに流れやすくなる |
| 首の後ろをたたく | 学会のページでは、正しい止め方ではない「おまじない」として紹介されている |
| 鼻の付け根(目と目の間)をつまむ | 出血しやすい場所を押さえられない。学会のページでも「おまじない」の扱い |
| 丸めたティッシュを鼻の奥に詰める | MSDマニュアル家庭版で、効果的ではない方法に挙げられている |
| 氷で冷やすだけで済ませる | 同じく効果的ではない方法に挙げられている。止めるのは圧迫が原則 |
| 何度も指を離して止まったか確かめる | MSDマニュアル家庭版では、10分間一度も手を離さないことが大切とされている |
(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血」、MSDマニュアル家庭版「鼻出血」)
鼻の中の乾燥・ヒリヒリを防ぐ毎日の工夫

部屋の湿度を、湿度計で確かめる
湿度計で部屋の状態を確かめ、乾燥が気になるときは加湿器などで調整しましょう。窓の結露やカビが出ないよう、加湿しすぎにも注意します。
暖房の風を顔に当てない。寝室はタイマーを使う
エアコンや温風ヒーターの風が顔に直接当たる場所は、乾きやすくなります。風向きを変える、寝るときは暖房を弱める・タイマーを使うといった工夫も試してみてください。朝に喉も痛む人は、こちらも参考にしてください。
参考:暖房つけっぱなしで朝に喉が痛いのはなぜ?寝ている間の乾燥対策
乾いた空気が気になる場所では、マスクも一つの方法
暖房の強い電車やオフィスなど、乾燥が気になる場所ではマスクをするのも一つの方法です。ただし、マスクは鼻血を防ぐためのものではありません。息苦しいときは外してください。
かさぶたははがさない。鼻をほじらない
学会は、かゆさで鼻をいじることを鼻血の原因の一つに挙げています(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血」)。乾いてできたかさぶたも、気になるからといって指や綿棒ではがさないほうがよいでしょう。はがすと、治りかけた粘膜がまた傷つくおそれがあります。爪を短く切っておくのも一つの工夫です。
鼻は強くかまない
学会は、鼻をかむことも鼻血のきっかけに挙げています。一度に強くかまず、片方ずつ、少しずつかむのも一つの方法です。鼻水が長く続くなら、その原因を耳鼻咽喉科で調べてもらいましょう。
鼻の中にワセリンを塗ってもいい?
乾燥対策として「鼻の中にワセリンを塗る」という話を見かけます。しかし、MSDマニュアル家庭版は、鉱物油やワセリンを鼻に使わないことで、これらが誤って肺に吸い込まれないようにすることを、肺の病気(気管支拡張症)の予防策の一つに挙げています(出典:MSDマニュアル家庭版「気管支拡張症」)。
ワセリンや油を、綿棒などで鼻の奥まで自己流で塗るのは避けましょう。荒れているのが鼻の穴の外側の皮膚なら、鼻の下の皮膚と同じように考えます。鼻の中の乾燥やかさぶたがつらいときは、耳鼻咽喉科で相談するか、市販の鼻用の製品を使う前に薬剤師に相談してください。
鼻の内側にかさぶたができて嫌なにおいがする、鼻血をくり返す場合は、萎縮性鼻炎のこともあるとされています(出典:MSDマニュアル家庭版「鼻炎」)。よくならないときは耳鼻咽喉科へ。
鼻血の受診の目安と119番のサイン
鼻血に加えて次の様子があるときは、ためらわず119番に電話してください。厚生労働省が大人で迷わず救急車を呼ぶ症状に挙げているものです(出典:厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」)。
すぐ119番
- 支えなしで立てないほど、急にふらつく
- 顔色が明らかに悪い
- 意識がおかしい(呼びかけへの反応がにぶいなど)
- 急に息が切れる、呼吸が苦しい
早めに耳鼻咽喉科か救急病院へ
- 10分押さえ、もう10分押さえても止まらない
- 出血の勢いが強い
- 顔をぶつけた・けがをしたあとの鼻血
- 血液をサラサラにする薬(抗凝固薬・抗血小板薬)を飲んでいる人の鼻血(止まっても、すぐに受診する)
耳鼻咽喉科で一度相談したい目安
- はっきりした原因がないのに、鼻血をくり返す
- 歯ぐきからも血が出る、少しぶつけただけで青あざができる
- 片側だけの鼻づまりが続く
- 血圧が高いと言われている
- 乾燥対策をしても、鼻の中のヒリヒリやかさぶたがよくならない
学会は、押さえても止まらない、出血の勢いが強い、顔のけがをともなう場合のほか、ふらふらする・顔色が悪い場合も、早めに耳鼻咽喉科か救急病院を受診するよう案内しています。ただし、支えなしで立てないほど急にふらつく、顔色が明らかに悪いときは、上の厚生労働省の目安のとおり119番です。また、激しい出血をくり返す、歯ぐきからも出血する、少しの力で青あざができるといった場合は、鼻の腫瘍や血液の病気も疑われ、詳しい検査が必要としています(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血」)。片側だけの鼻づまりは、鼻中隔のゆがみや腫瘍が原因のこともあるとされています(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」)。
血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は、医師に伝えて相談
血液をサラサラにする薬を飲んでいると、小さな傷でも鼻血が止まりにくくなるとされています(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」)。MSDマニュアル家庭版は、抗凝固薬などの使用を注意すべきサインに挙げ、こうしたサインがあれば出血が止まってもすぐに受診すること、ワルファリンやアスピリンなど血液の固まり方に影響する薬を使っているかを医師に必ず伝えることを勧めています(出典:MSDマニュアル家庭版「鼻出血」)。
ただし、鼻血が出たからといって、飲んでいる薬を自分の判断でやめず、処方した医師に相談してください。たとえば国立循環器病研究センターは、心臓のステント治療後に飲む抗血小板薬について、自己判断での中断・中止は非常に危険で、事前に医師に相談するよう呼びかけています(参考:国立循環器病研究センター冠疾患科「よくある質問」)。
子どもや高齢の家族の鼻血
鼻血は幼児から小学校低学年の子どもによくみられ、ほとんどは悪い病気ではないと学会は説明しています(出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血」)。止め方は大人と同じです。15歳以下で顔色が明らかに悪い、くちびるの色が紫色、激しい咳やゼーゼーして呼吸が苦しそう、頭を強くぶつけて出血が止まらない・意識がないときは119番です(出典:厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」)。高齢の家族は、血液をサラサラにする薬を飲んでいることもあるので、飲んでいる薬を確かめて受診先に伝えてください。
救急車を呼ぶか、すぐ病院に行くべきか迷うときは、#7119(実施地域のみ)で相談できます(出典:総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」)。子どもは、119番のサインがないときに #8000(子ども医療電話相談)も使えます。休日・夜間の相談窓口で、受付時間は都道府県で異なります(出典:厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」)。
鼻の中の乾燥と鼻血のよくある質問
Q. 鼻の中のかさぶたは、取ったほうがすっきりしますか?
無理にはがすと、粘膜がまた傷つくおそれがあります。嫌なにおいがする、何度もできる場合は耳鼻咽喉科で相談してください。
Q. 加湿器をつければ、鼻血は防げますか?
加湿器は部屋の湿度を上げる家電で、鼻血を防ぐ医療機器ではありません。乾燥対策の一つとして使い、鼻血をくり返すときは加湿だけで様子を見ず、耳鼻咽喉科で相談してください。
まとめ:鼻の中の乾燥と鼻血は「湿度・さわらない・正しく押さえる」
- 鼻の入り口から約1cmのところは血管が集まり、冬の乾燥や鼻をかむ・いじる刺激で出血しやすい
- 鼻血は、座ってやや下を向き、小鼻をつまんで約10分。途中で指を離さない
- 上を向く・首の後ろをたたく・ティッシュを奥に詰めるのは避ける
- 湿度計で部屋の湿度を確かめ、かさぶたははがさない。鼻の奥にワセリンなどを自己流で塗らない
- 10分を2回押さえても止まらない、勢いが強いときは早めに受診。血液をサラサラにする薬を飲んでいる人は、止まってもすぐに受診。薬は自己判断でやめず医師に相談
- 急にふらついて立てない、顔色が明らかに悪い、意識がおかしい、息が苦しいときは119番
まずは部屋の湿度を測り、家族にも「鼻血は下を向いて小鼻を10分」と伝えておきましょう。
参考にした情報
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血-意外と知らない」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻出血」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
- 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」
- 総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」
- 国立循環器病研究センター冠疾患科「よくある質問」
- MSDマニュアル家庭版「鼻出血」
- MSDマニュアル家庭版「鼻炎」
- MSDマニュアル家庭版「気管支拡張症」
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、効果には個人差があります。症状が気になる場合は医師にご相談ください。記事の内容は執筆時点(2026年11月)の情報です。
