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夜中に子どもが咳きこんだと思ったら、布団やカーペットに吐いていた。そんなときは、汚れより先に子どもの様子を確かめます。
片付けの基本は、手袋・マスク・エプロンをつけ、外側から内側へ静かに拭き取り、袋に密閉してから、薄めた塩素系の消毒液で消毒することです。塩素で色が変わりやすいカーペットは、素材の耐熱表示を確かめ、濡らしたペーパータオルの上からスチームアイロンを1か所約2分当てる方法もあります(毛足の長いものは専門業者に相談)。塩素系が使えない布は、洗濯表示で高温の洗濯ができる場合に限り85℃・1分以上の熱水で洗います。最後に石けんと流水で手を洗います。
この記事でわかること
- 片付けより先に確認する119番のサイン
- 漂白剤の薄め方(0.1%・0.02%)と使い分け
- 床・カーペット・布団の処理と洗い方
- 混ぜるな危険と、うつさない手洗い
片付けより先に|子どもの様子と119番のサイン
反応がなく、普段どおりの呼吸がない、または判断に迷うときは、119番に通報し、ためらわずに胸骨圧迫を始めます(出典:総務省消防庁「応急手当WEB講習」)。呼吸があれば、吐いたものが気管に入らないよう、そばで見守りながら体を横向きにします(出典:こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」)。そのうえで、次のサインを確認してください。
迷わず119番のサイン(子ども)
- 意識がない(返事がない)、またはもうろうとしている
- けいれんが止まらない、止まっても意識がもどらない
- くちびるの色が紫色、顔色が明らかに悪い、呼吸が苦しそう・弱い
- 物をのどにつまらせて、呼吸が苦しい
- 嘔吐が止まらない、便に血がまじった、おなかを激しく痛がる
- 激しい下痢や嘔吐で水分がとれず、食欲がなく、意識がはっきりしない
- 生まれて3か月未満の乳児の様子がおかしい
- 食べ物や薬のあとに、じんま疹・唇の腫れ・ぜーぜー・息苦しさなどと嘔吐が急に一緒に出た(アナフィラキシーの疑い)
最後の項目は厚生労働省のアナフィラキシーのマニュアルによります。エピペン(アドレナリン自己注射薬)を処方されている子は、医師から説明された使用の目安の症状が1つでもあればすみやかに使い、119番で救急車を呼びます(出典:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシー(令和8年2月改定)」)。ほかは子ども(15歳以下)向けの119番の目安です(出典:厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」)。頭を打ったあとに吐いた、または意識がぼんやりしているときも、横向きに寝かせて119番を呼び、その場から動かさないよう案内されています(同ガイドライン)。
水分がとれない、おしっこが半日以上出ない、ぐったりしている、吐いたものに血や緑色のもの(胆汁)がまじるときは、今すぐかかりつけ医か救急外来へ(出典:大阪急性期・総合医療センター「こどもの病気 嘔吐」)。119番のサインがなく、休日・夜間の受診や対処に迷うときは、#8000で小児科医師・看護師に相談できます(119番の代わりではありません)。受付時間は都道府県で異なります(出典:厚生労働省「子どもの症状は#8000」)。
参考:子どもが吐いたら経口補水液はいつから?量と飲ませ方の目安
準備するものと消毒液の作り方
東京都は、ペーパータオル・布、ごみ袋、バケツ、マスク、手袋、ガウン、スリッパ、塩素系漂白剤、ペットボトルなどを「おう吐物処理セット」として準備しておくよう案内しています(出典:東京都「家庭でできるノロウイルス対策」)。
床などに使う消毒液は、床や物の消毒に使えると表示された塩素系の製品を、表示どおりに薄めて使います。厚生労働省のQ&Aも、家庭用の塩素系漂白剤で代用できるとしつつ「使用上の注意」の確認を求めています(出典:厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」)。衣料用など用途が限られた製品は、表示にない場所に使いません。
消毒液の作り方(原液の濃度が5%の場合)
製品に薄め方の表示がなければ、原液の濃度を確かめて作ります。濃度は製品で1〜12%程度と幅があり、原液5%の場合は次のとおりです(出典:広島市「消毒液の作り方と使用上の注意」)。
| 作る濃度 | 主な用途(広島市) | 水500mLに加える原液 | 水1Lに加える原液 |
|---|---|---|---|
| 0.1%(約1,000ppm) | 便や吐いたものがついた床、おむつ等 | 約10mL(ペットボトルのキャップ2杯) | 20mL |
| 0.02%(約200ppm) | 衣服・器具のつけ置き、便座、ドアノブ、手すり、床等 | 約2mL(ペットボトルのキャップ半分弱) | 4mL |
ここでのキャップは、500mLペットボトルのキャップ(約5mL)です(広島市)。製品に付いているキャップとは量が違うので、取り違えないようにします。
塩素系の製品の濃度は保管中に下がるため、古いものは避け、各製品の表示を確認します(出典:花王「次亜塩素酸ナトリウム0.05%、0.1%の液は作れるの?」)。
拭き取ったあとの床は、厚生労働省のQ&Aでは約200ppm(0.02%)ですが、保育所のガイドライン・東京都・広島市は0.1%です。この記事では吐いたものがついた床と袋は0.1%、ドアノブ・便座などは0.02%で説明します。自治体や保健所の案内があれば、それに従ってください。
作るときと使うときの注意
- 使うたびに必要な量だけ作る。ペットボトルには「消毒液」と書く
- 人の体には使わない。皮膚についたらすぐ水で洗い流す
- スプレーで吹きつけない
- 手袋をつけ、換気しながら使う
- 原液も薄めた液も、子どもの手の届かない所に置く
広島市、花王のQ&A、東京都保健医療局の注意喚起(出典:東京都保健医療局「住まいの洗浄剤 正しく使って安全な暮らし」)によります。
嘔吐物の処理の手順(床・フローリング)

吐いたものは広く飛び散ります。東京都は、床に2.3m飛び散ったという実験結果を紹介しています(同パンフレット)。
- 人を遠ざけ、換気する:処理する人以外は近づけず、窓を開けます。
- 手袋・マスク・エプロンをつける:使い捨てのもの。
- 外側から内側へ静かに拭き取る:汚れた面を折り込みながら。同じ面でこすると汚れを広げます。
- すぐに袋へ入れて密封する:袋に0.1%の消毒液を、中身が浸る程度入れるのが望ましいとされます。
- 床を0.1%で消毒する:ペーパータオルで覆って消毒液を浸すか、浸すように拭きます。周り(半径2m程度)も。
- 10分程度おいて水拭きする:塩素は金属を傷めます。
- 手袋を裏返しながら外す:手袋や袋は別の袋に入れ、口を締めます。
- 石けんで手を洗う:できればシャワーも。
手順は広島市(出典:広島市「おう吐物の処理方法と手洗い方法」)、東京都、厚生労働省の資料によります。厚生労働省は、ウイルスは乾燥すると空中に漂い口に入ることがあるため、乾燥しないうちに速やかに処理し、十分に換気することが重要としています(同Q&A)。
カーペット・ラグ・畳に吐いたとき
厚生労働省のQ&Aには、12日以上前に汚染されたカーペットを通じて感染した事例が紹介され、時間がたっても必ず処理するよう書かれています。
| 場所 | 拭き取ったあと | 注意したいこと |
|---|---|---|
| カーペット・ラグ | 0.1%の液で消毒できたが、変色することがある。心配なら素材の耐熱表示を確認し、濡らしたペーパータオルの上からスチームアイロンを1か所約2分(狭い範囲向き) | 熱湯をかける方法は85℃を保てず、ウイルスを広げるおそれもあり不向き。毛足の長いものは3分当てても裏面が75℃程度までしか上がらなかったので、この方法に頼らず専門業者に相談 |
| 畳 | 参考にした公的資料に一律の方法はない。取扱表示やメーカーに確認する | 塩素系は木や布を変色させることがある(花王)。判断できなければ保健所か専門業者に相談 |
カーペットの扱いは東京都の実験によります(出典:東京都健康安全研究センター「ノロウイルス対策緊急タスクフォース」最終報告)。スチームアイロンは素材表示を確認し、子どもを近づけずに使います。
布団・シーツ・パジャマの洗い方と消毒

吐いたものがついた布団などのリネン類は、厚生労働省のQ&Aで次の流れが示されています。
- 汚れを静かに取り除く:飛び散らないように。
- 下洗いする:洗剤を入れた水の中で静かにもみ洗い。しぶきを吸い込まないように。
- 熱水で洗う:85℃・1分間以上の熱水洗濯が適しています(洗濯表示で高温の洗濯ができるものに限る)。
- 熱水が使えなければ塩素系で:次亜塩素酸ナトリウムで消毒し、十分にすすぎます。高温の乾燥機を使うと効果が高まります。
- 下洗いした場所も消毒:約200ppm(0.02%)で消毒し、洗剤で掃除します。
つけ置きの濃度は、東京都は0.02%、保育所のガイドラインは吐いたものがついた衣類は0.1%としています。消毒後は、ほかの洗濯物と分けて最後に洗濯します(東京都の以前のパンフレット)。
白い綿のシーツや肌着に:ハイター 小 600mL(衣料用漂白剤)
花王の塩素系の衣料用漂白剤(白無地衣料専用)で、用途に「衣料の除菌・消臭」があります。使えるのは水洗いできる白無地の木綿・麻・ポリエステル・アクリルで、色柄物、毛・絹・ナイロン・アセテート・ポリウレタン、金属の付属品つき、水洗いできないものには使えません。原液や熱湯で使わない、目に入ると失明のおそれ、などの注意も表示されています(出典:花王「ハイター 小」製品情報)。
表示には「用途外に使わない」とあり、床・カーペット・畳には使いません。ハイターが使えない布は、洗濯表示で高温の洗濯ができる場合に限り熱水で洗います(やけどに注意)。毛・絹などは高温に耐えるとは限らないため、表示が非対応・不明の布や洗えない寝具はメーカーか専門業者に相談しましょう。
すぐに洗えない布団・マットレスは
厚生労働省のQ&Aは、すぐに洗濯できない布団などは、よく乾燥させ、スチームアイロンや布団乾燥機を使うと効果的としています。ただし東京都の実験では、調べた家庭用布団乾燥機は温度が十分に上がらず、布団の裏側は30℃程度にとどまり、十分な消毒効果が得られない場合がありました(同最終報告)。洗えない布団は洗濯表示を確認し、難しければ専門業者に相談しましょう。
混ぜるな危険とアルコールの注意
酸性タイプの洗浄剤(トイレ用洗浄剤など)と塩素系の製品を混ぜると有毒な塩素ガスが発生し、重大な健康被害を招くことがあります(東京都保健医療局)。食酢やアルコールなどと混ざった場合も危険です(出典:花王「『まぜるな危険』とは?」)。
使用中に目にしみる、せき込む、気分が悪くなったときは、使用をやめてその場を離れ、洗眼・うがいをします。液が目に入ったときは失明のおそれがあるため、こすらずただちに流水で15分以上洗い流し、痛みや異常がなくても直後に必ず眼科を受診します。皮膚についたらすぐ水で十分に洗い流し、異常が残れば皮膚科へ。飲み込んだときは吐かずにすぐ口をすすぎ、コップ1〜2杯の牛乳か水を飲むなどして医師に相談します。受診するときは商品を持参します(花王「ハイター 小」の表示)。急な息切れや呼吸が苦しい、意識の異常があれば119番です(厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」)。
| 薬剤・方法 | ノロウイルスへの位置づけ | 注意 |
|---|---|---|
| 塩素系漂白剤 | 完全に失活化する方法のひとつ(厚生労働省) | 混ぜない。肌に使わない。金属の腐食、布の色落ち |
| 加熱(85℃・1分以上) | 有効な手段。ただし正確な条件はわかっていない(厚生労働省) | やけどに注意。素材の耐熱を確認 |
| 消毒用アルコール | ノロやロタなどには効きにくいとされる(大阪急性期・総合医療センター) | 手洗いの代わりにはならない(厚生労働省) |
処理後の手洗いと、家族にうつさないための工夫
厚生労働省は、手洗いを「手指に付着しているノロウイルスを減らす最も有効な方法」とし、汚物の処理後は手袋をしていても必ず洗うよう案内しています(同Q&A)。
家族への感染を防ぐポイント
- タオルやバスタオルは共用しない
- 下痢をしている人の入浴は一番最後にする
- トイレのドアノブ・便座などは0.02%の消毒液で拭く
- 体調が悪いときは調理をしない
どれも東京都の資料にある注意です。ノロウイルスでは、症状がなくなっても、通常1週間程度、長いときは1か月程度、便に出続けることがあります(厚生労働省)。治ったように見えても、しばらくは手洗いとおむつ・トイレの扱いを丁寧に続けましょう。
嘔吐物の処理のよくある質問
Q. 気づいたときには、吐いたものが乾いていました。
そのままにせず処理します。和歌山県の資料では、乾いた吐いたものはペーパータオルで上から覆い、0.1%の消毒液を十分かけて湿らせてから拭き取り、最後にもう一度床を消毒するとされています(出典:和歌山県「ノロウイルス感染症講習会の質問への回答」)。塩素で色が変わる素材では注意してください。
まとめ:子どもの様子を確認してから、拭き取り→密閉→消毒→手洗い
- 先に反応・呼吸と119番のサインを確認(あれば#8000を待たず119番)。サインがなく、休日・夜間の受診や対処に迷うときは#8000
- 手袋・マスク・エプロンをつけ、外側から内側へ静かに拭き取り、袋で密閉
- 吐いたものがついた床は0.1%。原液5%なら水500mLにペットボトルのキャップ2杯
- 色が心配なカーペットは、耐熱表示を確認し、濡らしたペーパータオル越しにスチームアイロンを1か所約2分(熱湯は不向き)。毛足の長いものや洗えない布団は専門業者に相談
- 酸性タイプなどと混ぜない。肌に使わない。子どもの手の届かない所に置く
- 処理後は石けんと流水で手洗い。治ってもしばらく続ける
参考にした情報
- 厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」
- 厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」
- 厚生労働省「子どもの症状は#8000」
- 総務省消防庁「応急手当WEB講習」
- こども家庭庁「保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)」
- 東京都「家庭でできるノロウイルス対策」
- 東京都(旧福祉保健局)「ノロウイルス感染」
- 東京都健康安全研究センター「ノロウイルス対策緊急タスクフォース」最終報告
- 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシー(令和8年2月改定)」
- 東京都保健医療局「住まいの洗浄剤 正しく使って安全な暮らし」
- 広島市「消毒液の作り方と使用上の注意」
- 広島市「おう吐物の処理方法と手洗い方法」
- 大阪急性期・総合医療センター「こどもの病気 嘔吐」
- 和歌山県「ノロウイルス感染症講習会の質問への回答」
- 花王「ハイター 小」製品情報
- 花王「次亜塩素酸ナトリウム0.05%、0.1%の液は作れるの?」
- 花王「『まぜるな危険』とは?」
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、効果には個人差があります。症状が気になる場合は医師にご相談ください。商品の価格や仕様は記事執筆時点(2026年11月)の情報です。塩素系漂白剤は、製品の使用上の注意をよく読んでお使いください。
